子供とスポーツ・武道を愛する全ての人へ。体罰の根絶について。


年に何回か日本に帰ってくるのですが、前回帰国した際は、日大アメフト部の不祥事のニュース一色でした。
日大に限らず最近、スポーツ業界や武道の分野での体罰の話ってよくニュースになります。
自分も中高時代に、隣で部活してるバドミントン部が手の皮が剥がれてもオットセイ?(という名のトレーニング)をしていたり、剣道部も、先生にボコられて足を怪我して稽古後に病院に行ってた後輩とかいました。バドミントン部のオットセイは、いま冷静に振り返ってみて一体どこを鍛えていたのか…。

学生の頃は「そういうものなのかな」と思ってた体罰の事例

自分の学校は私立の女子校だったのでこの程度だったのですが、もはや通常の感覚では思いつくことができない、天才的な発想の体罰が教育の場では行われることがあるようです。

1.試合に負けるとパイプ椅子が飛んでくる

大学の友達から聞いた話。ある男子校の顧問の先生は、試合に負けるとパイプ椅子で殴るらしく「あの学校の顧問はヤクザ」と言われていたそう。ヤクザ…。
自分と同級生なので15年くらい前ですね。いまやったらニュースになっちゃいそう。そして、冷静に考えて試合に負けたくらいでパイプ椅子飛んでくるってやばい。更年期障害なのか、精神疾患すら疑われます。

2.試合を勝手に中断して殴ってくる顧問

道場の七段の先生に聞いた話。先生が学生の頃、試合中に先生がなぜか止めをかけて、試合の内容が悪いとかなんとかで、わざわざ面をとらせて殴ったそう。試合って、そんな理由で勝手に中断できるの?よく思いついて、さらに実行までしたな…。

3.真冬の池に落とされる

秋田の田舎の強豪校出身の友達は、「真冬に切り返ししながら池に落とされた」と言ってました。
切り返しをしながら道場出て行って、池の周りをぐるぐる回って最終的に真冬の池に落とされるらしいんですね。この発想もけっこう天才的だし、道場の外まで切り返ししながら出て行ってさらに池の周りを回って落とすって、かなり器用だと思いませんか?この発想力をもっと別の場所に発揮できなかったのだろうか…。

他にも、通常の感覚ではなかなか思いつかないめちゃくちゃな事例があると思います。めちゃくちゃすぎてギャグなのかそれ?と思っちゃうくらいです。
それを乗り越えて、さらに明るく笑い話にしている人たちは、タフだしすごいなぁと思います。社会に出てからも「あのやばいやつに比べれば」と乗り越えられたことも多いようです。「そりゃね!めちゃくちゃすぎるよね!」と笑い話にしています。辛いことを笑い話にできるって、すごい。あと、「こういうものかな」と思って適応していたようです。適応力やばい

でも、こういう明るい人たちって先生との関係性が良かったり、自分がされてたことを後輩や子供にはしていない人が多いです。少なくとも自分の周りでは。自分がされて嫌だったこと、他人が嫌なことはしない、と言ってます。
問題は、苦しいことを良しとして、現代の子供にもこれを強いている大人です。

体罰ができた理由と、各都道府県の対応

体罰がなぜ生まれたのか。昔はめちゃくちゃ素行の悪い不良たちの防衛行為の一つとして体罰が使われていたようです。そう言われれば、ちょっと納得です。だってバットを振り回している思春期の学生とか怖いです。盗んだバイクで走り出しちゃったり、夜の校舎の窓ガラス壊して回ってるやつがいたとしたら、その対応とか、まじで大変だと思います。

でも、普通の人間て、話せばわかると思うんですよね。もうどうしようもなく手がかかる子だとしても、子供を叩かないでくれよ罵倒しないでくれ。と思います。体罰の種類には身体的なものと精神的なものがあるらしく、例えば意味もなく左小手をぶっ叩いて怪我させたり、「あんたなんて五歳児以下よ!」とみんなの前で罵倒したり、試合に負けたから壁に向かって正座させたり、防具で守られてない部分を意図的に叩くのも体罰らしいです。

体罰は子どもの心と身体を傷つけるものであり、法律で禁止されています。「愛のムチ」が暴力という形をとるとき、それは明確な違法行為です。
体罰による指導は、教師としての未熟さを示すものであり、これにより、正常な倫理観を養うことはできません。そのような指導は、むしろ、児童生徒に負の教育的影響を与え、暴力行為、いじめなどの土壌を生じさせることとなるのです。
殴る、蹴るなど身体に対する侵害となるような懲戒や、特定の姿勢を長時間にわたって保持させるなど肉体的苦痛を与えるような懲戒はもちろんのこと、心を傷つける「言葉の暴力」も、あらゆる指導の場から根絶されなければなりません。
参考:「徳島県教育委員会 コンプライアンス

最近のスポーツ界・教育界の不祥事を受けて各都道府県が体罰防止ガイドラインを引いてます。上記はいずれも体罰に該当し、教育法に違反しています。教員であれば法律違反で免職になる可能性もあるようです。

参考:
指針、32自治体 都道府県・政令市 中高などの部活
体罰防止ガイドライン~ 神奈川からすべての体罰を根絶するために ~
山形県教育委員会 体罰等の根絶と児童生徒理解に基づく指導のガイドライン

子供を本当に愛しているならば

なんか、剣道って苦しいんですよね。暑いし痛いし臭いし。私、中学1年生から剣道始めて、身長は168cmあったのでぶっちゃけ「怖い」って思ったことはあんまりないんですけど、まだ小学校の低学年の小さな子供が、でっかい大人に向かっていくのって、大変だと思うんです。私、小さい子が防具をつけて、稽古したり、緊張しながらも試合に臨んでいる姿を見るだけで、涙が出そうになるんです。どっかの強豪道場の先生が「防具つけて立ってるだけでえらい!」っておっしゃってて、とても共感しました。もう道場来ただけで褒めてあげたいくらい!

自分は教育者でもなんでもないのですが、子供と話したり、一緒に剣道するのはすごく好きです。小学校に上がる前の子供が、一生懸命正座して、お尻をぴょこんとあげながら「ありがとうございます!」って礼をしている姿とか、子供同士で遊んで「花火のモノマネします!」とか意味不明なこと言い出したり、超くだらないことで笑っている姿を見ると、なぜだか「人生ってけっこう楽しいな」って感じるんです。

人生っていろんなことが起こるので、辛い時に乗り越えなきゃいけないこともあると思います。でも、わざわざ、大人が子供を叩いて怯えさせて、試練みたいなものを課す必要はないと思います。本当に乗り越えなくてはいけない時は、私たち大人が敢えて課さなくても自然とやってくるだろうし、子供は勝手に乗り越えるはずです。子供のためだと口ではいっても、そんなのただの大人のエゴではないでしょうか。

暴力には断固とした態度と勇気を

江東区のラグビークラブでは、独自に体罰に対するガイドラインを引いています。

体罰の定義、具体例、懲戒の対象となること、チェックシートなどが書かれていてわかりやすいです。各都道府県も策定していますが、剣道界でも全剣連や道場連盟がガイドラインを引いてくださったらいいのになと個人的に思います。

また、剣道に限らず、日本の部活・地域活動・スポーツクラブでは体罰やパワハラ、セクハラの話をよく聞きます。
試合に出してもらえなくなるかも」「波風を立てたくない」「子供の立場を守りたい」、社会人であれば「自分のことに精一杯だから関わりたくない」など、色々事情はあると思います。でも、誰かの勇気ある一言や、毅然とした態度が子供の心や怪我を救うことがあるかもしれません。逆に、あなたが目をそらしたその態度が、子供をどん底に突き落とすことがあるかもしれません。

”ボランティア”という立場に甘えないで

野球、サッカー、剣道…地域スポーツはボランティアで成り立っていることが多いです。一説によると、このボランティアの風土が体罰や諸問題を起こす原因の一つのようです。國學院大學人間開発学部健康体育学科 教授 大森 俊夫先生が神奈川県の体罰防止ガイドラインに執筆なさっていた内容を一部引用します。

アメリカと日本の最も大きな差異はアメリカでの指導者は給料をもらい、プロとしての意識を持ち、社会的な地位も高く尊敬されていることが挙げられます。指導者を管理する組織も確立しており、指導者の能力や成績等も管理されており、体罰が起こらないような工夫が見られます。また選手の意識も指導者と対等な立場で、意見交換等も行います。日本ではボランティアの指導者が多く、恵まれた条件の指導者は少ないのが現状です。

「時間をかけたことにはお金をもらったほうがいい」といった意見がありますが、もはや「時間をかけているから」ではなく「子供たちの心理的・身体的安全のために、担保としてお金を取るべき」と思います。

暴力行為やめてくださいとか、文句を言うと「とはいえ、ボランティアだからね」と茶を濁されることがあるのですが、そんなボランティアならまじでやらないでくれと思います。

一人一人が、フラットに意見を言い合える場作りを

どこの組織でもなんでも、空気を読んで意見しないとか、誰々が何か言ったから悪口言うとか、派閥作りとか、根回しとか、自分の子供と自分の利益だけ考えるとか!!!!!そういう、くだらないことはもう止めにしませんか

男性の先生に「お前どっち派閥なんだ?」と言われたことがあり、本当にクソくだらないことに脳みそ使って生きてるんだなと思ったのですが、なんなんですかね?剣道とか居合とか、そういうこと考える人多いのですか?最近、居合もお金で段位買ったとか問題になってますけど、そんなことして生きてて、何が楽しいの?

体罰って、色々なことの総合的な結果だと思うんです。指導者だけじゃなくて黙認している人たちがいるとしたら、見ないふりして考えてない人たちがいるとしたら。今すぐ止めて、声をあげていいのではないでしょうか。


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横浜出身、オランダ在住のフリーライター&Webディレクター。ジャンルを問わないSEOライティングが得意です。ディレクションはLP・採用サイト・企業サイト・オウンドメディア、何でもやります。お仕事のご依頼は[marikoアット1design.jp]もしくはTwitterへ。[ID mariko_cabin442] 最近、剣道五段に受かりました。旅行と読書と寝ることと、漫画が好きです。細かいことを気にしない性格です。