Search here...
TOP
エッセイ 剣道

なぜ、剣道をするの?


中学一年生の時に身長が165cmもあって、「たたかれたら伸びなくなるかな」と、かなり雑な理由で剣道を始めました。はじめてみると、剣道部の先輩や同級生たちと過ごす時間がとても面白く、剣道自体も自分に合っているように感じました。

中高一貫の私立の女子校で、部活が終わったら図書館で勉強、休日も遊びと合わせて勉強。剣道部の人たちは、ユーモアがあるけどとても真面目でした。私のなかで勉強と剣道はセットで、大人になってからは、仕事と剣道がセットになりました。

大学に入ってからも同好会でのんびり剣道を続けました。社会人になってからは、大学の先輩に色々な場所に連れて行ってもらい、町道場に所属しました。

町道場にはさまざまな年代の人がいました。子供がすごく可愛くて、20代の後半から30代にかけて、ずっと子供たちと過ごしていたと思います。

花火の物真似をしてくれる子、
「小手はこう打つんだよ!」と教えてくる子、
「まり子さんて大人だったの?」って聞いてくる子、
みんなで水族館やぶどう狩りに行ったこともありました。

道場にいるおじさん先生たちも面白くて、ずいぶんよくしていただきました。ここで、はじめて剣道についてちゃんと色々教えていただいたと思います。この頃は、周りの人たちと遊ぶのが楽しくて剣道をしていました。

オランダ移住と剣道

2017年の5月に、私はオランダに渡ります。
海外で働くことがずっと夢だったのと、経済的・精神的にも絶対に自立したいと強く思っていました。2015年に日本でフリーランスとして独立したのですが、根底には「会社に頼らず生きていけるようになりたい」という気持ちがあります。

そして、絶対的に自立するのであれば、違う国にいても、どこでも働けるようにならなければなりません。だから、オランダで事業登録して、海外フリーランスとして生きていく道を選びました。

オランダにいく時に、昔の会社の上司に「生きる場所が変われば、自分が持つ価値も変わる」とアドバイスをいただき、「剣道で何かできたらいいな」なんて軽く思ってました。

しかし、実際は自分の剣道の経験が価値になったのではなく、逆に剣道にとても救われました。ヨーロッパは剣道が盛んで、オランダにも多くの有段者がいます。移住に際して、自分一人では解決できない問題もたくさんありましたが、剣道コミュニティがいつも私を助けてくれました。

ゼロベースでオランダにきた私には、友達も「ない」、言葉も十分では「ない」、周りの人たちと共通の経験や思い出も「ない」。生活には30年分の空白があって、ないものばかりで、喪失感すら感じていました。

海外に出ることは夢でしたが、たまにどうしようもなく苦しい。
でもそんな時にそっと寄り添ってくれたのが剣道と、ヨーロッパの剣道家の皆さんです(もちろん、剣道家の皆さんだけではなく、ここには書き切れないくらいたくさんの方に助けていただいています)。

さらに、オランダに行ってから、日本では出会う機会がなかった大学の剣道の先生や、ずっと第一線で活躍してた強い学生さんたちと触れ合う機会が増えました。海外普及のために、先生方は諸外国を訪れているのです。これは、全く予測してないことでした。

日本への一時帰国と剣道

2020年末から日本に一時帰国し、オランダで知り合った大学の先生や体育大学の学生さんなどと再会し、お話しする機会が急増しました。彼らは本当に剣道に真剣に取り組んでいて、話していると今までいかに自分が不真面目だったかを痛感します。

これまでは、「友達と楽しく過ごすため」「健康のため」と、かなり「遊び」の側面が強くて、軽い気持ちで剣道を続けてきたのですが、最近は「自分はなぜ剣道をするのだろう」と、きちんと向き合い始めています。五段をいただいているのにそれに見合った剣道が全然できていません。今まで何をしてきたんだろうと恥ずかしく、猛省してます。

勉強不足であまりかっこいいことは書けないのですが、オランダの剣道にはこれからも関わっていきたいし、日本とヨーロッパの少年少女剣士の橋渡しのようなことができたらいいなと思っています。

少子化で各種スポーツの競技人口が減少と言われているなかで、「剣道カテゴリだけ妙に国際感覚に優れた子供が多い」となったらおもしろくありませんか?

子供たちが世界の面白いことと繋がって、人生を豊かにして、幸福に暮らしてくれたら、これに勝る悦びはありません。

そのためにも、国籍に関わらずきちんと文化を伝えられるよう、勉強し、教えられるようになること。これが今の目標です。

冒頭の、「なぜ、剣道をするの?」の問いは、きっとひとりひとり、答えが異なるものです。

競技としての真理を追求するため、
交流のため、
文化継承のため…

私の場合は、今までと変わらず「周りの人たちとより豊かな時間を過ごすため」。そのためにも、体系的に剣道を学び直していきたいと思います。


まり子 佐藤

横浜出身、オランダ在住のフリーライター&Webディレクター。ジャンルを問わないSEOライティングが得意です。ディレクションはLP・採用サイト・企業サイト・オウンドメディア、何でもやります。お仕事のご依頼は[marikoアット1design.jp]もしくはTwitterへ。[ID mariko_cabin442] 最近、剣道五段に受かりました。旅行と読書と寝ることと、漫画が好きです。細かいことを気にしない性格です。

«

1 COMMENT

  • 岩本宏紀

    いい話ですね。
    ヨーロッパで日本人が嫌な思いをせずに暮らせるには、何年にもわたり先輩たちがこの地で真面目に生きて、この地の人たちと誠実に接して
    こられたおかげだと感じています。
    佐藤さんはすでにそのような先輩になっておられると、この文章を読んで感じました。

Leave a Comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です