フリーランスってどんな働き方?これからフリーランスになる人に向けた入門書


ドイツ在住イラストレーター/漫画家・高田ゲンキさんの『世界一やさしい フリーランスの教科書 1年生』を読んだので、その感想をまとめます。

ゲンキさんは、ドイツのベルリンを拠点に活動するイラストレーターです。ご自身のブログTwitternote、書籍などでイラストレーターの仕事やフリーランスの働き方について発信していらっしゃいます。

初めてゲンキさんを知ったのはブログで、この漫画の半生記がきっかけだったと思います。昨年、ご縁があってゲンキさんの一作目『フリーランスで行こう!』の発売記念インタビューをさせていただきました。こちらの本は漫画で書かれているのですが、読みやすくユーモラスでとても面白いです。フリーランスのイラストレーターを目指している方はぜひ。

二作目の『世界一やさしい フリーランスの教科書 1年生』は文章中心の書籍で、イラストレーターに限らず、より広い範囲のフリーランス志望者、駆け出しフリーランスに向けて書かれています。

本書の概要

つい最近、日経新聞が「フリーランス300万人超 内閣府初推計 就業者の5%」と報じました。フリーランスとして働く人の数は306万人から341万人程度と推計され、国内の就業者全体の約5%を占めます。ちなみに、内閣府がフリーランスの人数を推計するのは初めてとのことです。

フリーランスという働き方に注目が集まり、数も増加していますが、フリーランスのリアルな実態が伝わっているとは言い切れない状況だと思います。こちらの書籍ではフリーランスになりたい人、なりたての人、なったものの不安がある人を対象に「フリーランスの働き方」を解説。著者であるゲンキさんの実体験や、地道に活動しているフリーランスの方々の声も掲載しています。

この書籍の面白いところは、現時点で志望職種や専門スキルがまだなくて、漠然とフリーランスに憧れている人にも優しく「フリーランスのなり方」を解説している点だと思います。下記の点が、丁寧に説明されています。

  • 長年の経験から、フリーランスに向いている人・向いていない人の特徴の傾向
  • フリーランスとして活動してきて感じたメリット・デメリット
  • フリーランスになるために必要な準備、心構え
  • フリーランスになったら気をつけること、仕事の進め方

なので、会社員として働いていて「いつか独立したいな」と思っている方にも参考になると思います。

目次

  • ホームルーム ようこそ、フリーランスの世界へ!
  • 1時限目 フリーランスについて知ろう
  • 2時限目 フリーランスの働き方を理解しよう
  • 3時限目 フリーランスになるための準備
  • 4時限目 フリーランスになったら
  • 5時限目 仕事の進め方

本の感想

私は今年でフリーランス5年目に突入したので、この本のメイン読者からは逸れるかもしれません。でも、読んでいて参考になったことや感じたことも多々ありました。自分の感想もこちらにまとめておこうと思います。

集中力について

最近の自分の課題の一つが、「どれだけ一つの仕事に集中するか」です。フリーランスは時間も場所も選ばず仕事ができて、それがメリットの一つなのですが、デメリットでもあります。仕事しながらSNSやメールを見ていても誰かに咎められることはないです。いきなりアイデアが浮かんで別の仕事に切り替えてしまうこともあります。また、仕事の裁量も全て自分にあるので、優先順位をつけて完全に自分1人でタイムマネジメントをする必要があります。

一つの仕事にどれだけ没入できるかどうかは、その仕事の質にも影響を及ぼすでしょう。
ゲンキさんの書籍でも、集中のスイッチとしてコーヒーと音楽が紹介されていました。私も、集中するスイッチの一つはコーヒーです。また、こうやって文章を書いてると頭を使うのでブドウ糖も摂るようにしてます。カフェ、図書館、コワーキングスペース、自宅など、いろんなところで仕事をするのですが、それぞれの場所に合わせて集中のスイッチを持っておきたいなと思ってます。

活動拠点に関して

驚いたのは、「活動拠点」をテーマにした部分があることでした。まだ専門知識がない人に向けて「どうやって職種を考えるか」というところから説明なさってて、就活の本みたいだなぁと思って読んでいたのですが、私は就職や転職活動の時に「働く拠点をどうするか」って、あんまり考えたことがありませんでした。もともと横浜出身なので都内で働くことを前提にしていたというのもあるかもしれないのですが…。

今は、私はオランダに住んでいるのですが、母が病気になってしまい弟2人と父とヘルパーさんが介護をしています。猫と犬は癒し係です。すいません、長女の私だけ海外にいます…。しかもこの間、父に「航空券代出すから日本帰ってきて」と言われて一時帰国したのですが、やっぱり心細いみたいで母の近くにいてほしい的なことを言われました。帰ってくるならエア代毎回全部出す的なことまで言ってて、娘のこと甘やかしすぎだろと思ったんですが…!もっと頻繁に日本に帰ろうと思いつつも、一度拠点を日本に戻して、旅行ビザでオランダ短期滞在というのもいいかなぁと最近考えてます。こういう風に呑気に考えられるのはフリーランスという業態のおかげだと思ってます。

実家に帰った時も、母のお世話しつつ仕事してまたお世話する…みたいな感じだったので、有給取ったりする必要もないです。

税金や契約周りのこと

なんか、ニュースとかネットの記事を読んでると、「フリーランスで高収入」を謳ったり、インパクトありそうな部分だけ切り取って記事になっているのを見かけるのですが、ダイエットと同じで楽して●●円稼ぐとかほんとミラクル起こらないとないと思うんですよね、凡人の場合。土地持ってるとか宝くじ当たるとか…。

本書では、フリーランスになったら「やらなきゃいけないこと」「めんどくさいこと」についても紹介されてます。パッとしないのでニュースとかにはなりにくいと思うのですが、例えば以下のこと。

  1. 確定申告が面倒くさい
  2. カードや住宅ローンの審査に通りにくくなる
  3. 老後の心配
  4. 契約に関するトラブル
  5. 謎の勧誘をされる

①の確定申告に関してなのですが、そもそも確定申告の前に開業届、青色申告するなら青色申告承認申請書などいくつか出さないといけない届出があります。まじでこれが本当面倒くさくて、本読んで調べて提出したら実は出さなくていい届出だったとか地味に面倒なんです。面倒って何回も言いますけど本当に面倒くさいんですよ。学校や会社の研修みたいに誰も教えてくれないし。

最近は、会計ソフトや開業支援のサービスがあって、随分楽になりました。特に、開業当初に必要な書類に関しては開業freeeがすごくおすすめです。無料で使えるのですが、自分が出さなければいけない届出を簡単に判別して記入・提出できます。

契約周りやお金周りに関しては、本書でも紹介されていますがフリーランス協会がおすすめです。ベネフィットプラン神。損害賠償保険には絶対入っておいたほうがいいと思います。いままで、フリーランスに関すること気軽に相談できる場所もなかったので、フリーランスが広まるにしたがってこういう素敵なサービスも増えていくんだろうなぁと思っています。

最後に…

この書籍ができた経緯をまとめたツイートに「フリーランスになりたい人をもっと助けたいのに時間がなくてもどかしい!」とあって、ゲンキさん本当に優しいなぁと思いました…。私もオランダ移住に関する相談とか、全く素性の知れない人から来ることが多いのですが、素性がわからなすぎてビビって無視しちゃうことが多いです。

でも、自分で調べてもたどり着ける情報って限界があるし、これから自分の人生やライフスタイルの幅を広げるためにフリーランスを選択肢に入れたい!と思っている人にとって、ゲンキさんみたいな人って本当に大きな助けになるんだろうなぁと思います。ゲンキさんに限らず、そういう活動している人って本当にすごい。私も見習って善い行いしよう…!と思いました。

フリーランスに興味がある人は、ゲンキのさんの書籍やSNS情報はとても価値があると思いますので、ぜひ読んでみてください!


ABOUTこの記事をかいた人

横浜出身、オランダ在住のフリーライター&Webディレクター。ジャンルを問わないSEOライティングが得意です。ディレクションはLP・採用サイト・企業サイト・オウンドメディア、何でもやります。お仕事のご依頼は[marikoアット1design.jp]もしくはTwitterへ。[ID mariko_cabin442] 最近、剣道五段に受かりました。旅行と読書と寝ることと、漫画が好きです。細かいことを気にしない性格です。