パリ在住のロシア人剣士Evgeny Andreevさんがクラウドファンディング『Help Ukranian Kendo team(ウクライナ剣道チームの支援)』を立ち上げました。Evgeny さんは錬士六段、5月末にドイツのフランクフルトで開催予定のEKC(European Kendo Championship / 欧州剣道選手権大会。通称:ヨーロッパ大会)での審判にも選ばれています。
剣道を通じて知り合ったロシア人とウクライナ人が、手と手を取り合って助け合おうとしています。ぜひ日本の皆さんにも知っていただきたく、クラウドファンディングページを日本語訳しました。さらに、なぜウクライナ剣士たちと仲良くなったのか、クラウドファンディングを始めようと思ったのかも聞いたので、ここに記します。
世界大会と並ぶ大イベント、ヨーロッパ剣道選手権大会
ヨーロッパ大会とは、欧州最大級の剣道大会です。前回セルビアで開催されたときは42カ国が参加しました。コロナの影響でここ数年開催が見送られていましたが、今回はドイツで開催予定。欧州の剣士たちは試合に向けて準備を始めています。欧州の人たちにとっては、世界大会と並ぶ大イベントです。
ロシア剣士とウクライナ剣士の友情
なぜロシア人剣士のEvgeny さんがウクライナをサポートしようとしているのでしょう?彼も元々ロシア代表で、ヨーロッパ大会でウクライナの人たちと仲良くなり、交流を深めてきたそうです。ウクライナ剣道連盟の会長や、昔からいるウクライナ代表チームの人たちとも仲良しみたいです。
私は、普遍的な剣道の魅力に国を超えた交剣知愛があると思ってます。ヨーロッパは特に陸続きだからか、国際大会で馴染みになってきた人たちが少なくありません。Evgeny さんとウクライナの人々との友情も、そうやって剣道を通して育まれてきたそうです。
私は今回、剣道時代インターナショナルとして500ユーロをこのクラウドファンディングに寄付しました。
ユニセフなどの人道支援への寄付も考えましたが、色々な方にアドバイスを聞いて、Evgeny さんは信頼できる方だと判断しました。
・そもそも大会どころではないのでは?
・ヨーロッパ大会自体が開催されないのでは?
など、私や周りの人が持つ疑問にもEvgeny さんは全て丁寧に答えてくれました。大会どころじゃないかもしれない。でもいつこの世界からなくなってしまうかわからないこんな状況だからこそ、ウクライナの剣士たちは大好きな剣道に希望を持って、大会出場を望んでいます。
希望を持つことが何かを変えると彼らは信じています。大会自体がなくなってしまった場合は、破壊された道場や彼らの家、そして防具を買うための費用に使用されます。
資金用途は全て細やかに報告するとのことです。ウクライナ国内も混乱を極め、剣道連盟の方々も街のために闘っているそうです。そんな状況だから、自分たちができることは全てやろうという判断でこのクラウドファンディングが始まりました。寄付に関しては自己責任になりますが、興味をお持ちのかたが寄付しやすいよう、以下にサイトの日本語訳と画面の操作方法を記載します。
資金の使い道
①ヨーロッパ大会への参加費
男女各チームメンバーの参加費、チーム全員の大会中のケータリング、チーム全員のサヨナラパーティーの費用。ウクライナ剣道連盟がヨーロッパ大会へのエントリーを完了したら、資金はすぐに連盟の口座に振り込まれます。
②チームの宿泊費
ヨーロッパ大会中のチーム全員の宿泊費。こちらはホテルに直接支払われます。
③チームの旅費
残りの資金はチームの旅費に充てるため、ウクライナ剣道連盟に送付されます。現在、ウクライナ剣道代表チームのメンバーたちはポーランドやオランダなどに逃げ、散り散りになっています。このため、旅費の調整が難しい可能性があります。旅費をチームメンバー(またはチーム代表者)の銀行口座に直接送金することも検討しているそうです。
請求書とチームメンバーの銀行口座情報は、ウクライナ剣道連盟会長または会長が指名したチーム責任者によって提供されます。詳細はお金の使い道が決まり次第、発表されます。ウクライナ剣道連盟の会長には、寄付状況を常に報告しています。
支払い後に残ったお金は、ウクライナ剣道連盟会長もしくは会長によって指名された責任者に送られます。資金用途のすべては細かく報告されます。
並行して、ウクライナの人々に送るための剣道具の収集も行っています。
支援方法
まず、『Help Ukranian Kendo team(ウクライナ剣道チームの支援)』にアクセスしてください。
①Donate now(募金する)をクリック。donateは募金という意味です。
②寄付金額と、クラウドファンディングサイトGoFundMeへのチップを入力します。通常、クラウドファンディングサイトは企画者が集めたお金の中から運営費を手数料として差し引いているのですが、このサイトはチップで運営費を賄おうとしています。
③Google Payもしくはクレジットカードで支払い
④「Donate now(寄付する)」ボタンをクリック。
チェックボックスが2つありますが、上のチェックボックスにチェックを入れると、一覧に名前を非表示にできます。二つ目のチェックボックスはGoFundMeからのお知らせを受け取りたい場合にチェックを入れてください。
これで寄付完了です!英語になってしまいますが、クラウドファンディングのFacebookグループがあるので、もしよかったら参加してみてください!寄付金額は500円(約5ユーロ)、1000円(約10ユーロ)からでも可能です。金額は本当にいくらでもよくて、寄付することで「側にいるよ」ってメッセージになると思ってます。
この件と同時にEvgeny さんと話しているのが、ロシア人剣士たちのヨーロッパ大会参加です。経済制裁や情報統制の影響でウクライナ人以上に国の外に出ることは厳しい可能性があります。私の周りのロシア人剣士は、戦争を望んでいません。ウクライナ人が自由に試合に参加する権利があるように、ロシア人剣士にもその権利はあるはずです。ヨーロッパ剣道連盟からロシアを除名するという話も挙がっているようです…。
来週からオランダに行くので、欧州の動きに関しては引き続きレポートしていきます。