昨日、取材先である方に再会しました。2017年に記事を書いてもらった方です。
私が本格的にライターとして活動し始めたのは、オランダに渡航した2017年。その年はメディアに「書く」だけではなく「書いてもらうこと」も意識していました。
せっかくコストをかけてオランダ移住を決行するのだから、それを個性にして仕事につなげよう、という魂胆がありました。「オランダ移住」「海外移住」など、想起しやすい言葉があれば紹介もされやすいはずだ、と考えていました。
そしてこのときは「新しい働き方」のポジションを取ろうとしていました。オランダに移住して、自由な働き方をしている、みたいな切り口です。当時は長時間労働や過労死が社会問題になっていて、プレミアムフライデーとか、働き方改革とか、そういう言葉がもてはやされていました。その流れで、じゃあ、オランダに行って時差も距離もある中で、自由な働き方を実践して発信したらバリューがあるのではないか?と考えたのです。
書いていただいた記事は『WORK STORY AWARD』に掲載されました。これからの日本をつくる100の“働く”をみつけよう、というコンセプトで、審査を通過するとストーリーを記事化してもらえます。
あれから8年が経ちました。
人に会うというのはとても不思議なことで、普段忘れていた感情や記憶が、否応なしに手触りのある形で押し寄せてきます。
働き方を切り口に、オランダで色々な人にインタビューをしてきたことを思い出しました。
でも、”働き方”で取材をしても、結局はその人の強烈な仕事観や生き方に魅せられていきました。働き方やオフィスが「ハード」だとしたら、仕事観や生き方は「ソフト」面。素敵だなぁという仕事をしている人は、生活も美しく充実させていて、そのバランス感覚にとても憧れました。突き詰めて仕事をしている人たちには、今でも大きな憧れがあります。
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昨日の取材先では、オランダ人の起業家にもお会いしました。オランダ人に名刺を渡すと必ず聞かれるのが「何の記事を書いているの?」です。日本だと「ライターさんなんですね」で終わることが多いので、その質問をされたのも久しいです。久々すぎて、パッと答えられなかった。よくオランダで聞かれていたことなのに。
オランダにいた頃は、この質問をされるたびに個性を作らなければ、と思っていました。仕事は可能な限り請けるけど、自分の名刺になるような仕事をしなければと。
こういう出会いに刺激されて、また自分の行動や仕事も変わっていくんだろうなと思った日でした。