前回「オランダ移住と孤独」をテーマに記事を書いたのですが、同じ海外フリーランスからは「共感した」とDMやツイートをもらい、それ以外の知人からは「大丈夫?」と心配のDMをもらいました(笑)心配をかけてしまい申し訳ないです。「孤独」という言葉はインパクトが強いので、鬱になってないかなど心配されているのかもしれません。特に日常生活に支障をきたしているわけでもないので、ご心配なく!
私にとって孤独とは、心の中にいる小さな同居人のようなものです。
誰かにこの孤独を埋めてほしいとも思っていないし、選んだ道の過程で生まれた大切な感情です。私の孤独は私だけのもので、これからも一緒にこの感情と歩んでいきたいと思っています。
自分で描いた夢を叶えていくということ
私にとって「何が自分にとっての幸福なのか」「どんな人間になりたいのか」「どんな感情を抱きながら暮らしたいのか」は、凄く重要なテーマで、何よりも優先されるべきことでした。
「誰かのせいで自分が不幸だ」なんて絶対に言いたくないし、何か不都合な環境があるなら、それを変えられるだけの力が欲しいと思っていました。
周りの人と協力しながら、時に頼りあいながら生きていくことはあっても、依存はしたくない。自立した人間であろうとすることが、自分のプライドでもあったと思います。
誰かに頼らず自分の力で生きていけるようになるために、「できること」を増やしていくこと、例えある日、会社が倒産して無職になったとしても、国が消滅するほどのことが起こっても、逞しく生きていけるようになりたかったのです。そのために「独立できるくらいの力をつける」というのが私のプランでした。
会社に寄りかかって、不平不満を口にしながら、無難に適当に仕事をすることだけは絶対にしたくないと考えていました。会社のせいにしない、社会のせいにしない、自分で自分の生きる環境を創る力が欲しかったのです。
そのためには、自分で自分の人生や感情をコントロールできるようにならなければなりません。そして人生をコントロールするために、どこの国・会社・コミュニティにある日突然放り込まれたとしても、順応して生き抜く力が欲しいと考えていました。
オランダに来たのは、未知の世界への憧れが大きいですが、サバイバル力を磨きたいという気持ちもありました。
遠いヨーロッパの地に来て、衣食住の環境を整え、事業を運営していくことは、世界からするとちっぽけな出来事ですが、私にとっては宝物のような経験です。自分で描いた未来に向かって、一歩一歩進んで、夢を叶えていく素晴らしい作業でした。誰に何を言われようとも、「やらなければ後悔する」と信じたことを貫いてきました。
夢の先
一方で、オランダ移住の手続きが落ち着いた2年目ごろから「これから何をすればいいのだろう」とぼんやりと考えるようになりました。夢は叶ったけれど、夢の先は想像していなかったのです。
そしてこの頃から、受託の仕事ではなく、仕事をクリエイトすることについて考えるようになりました。最低限の生活の基盤が整ったので、今度は仕事を通して何か自己表現や、本当に社会に必要とされる仕事がしたいと考えるようになったんです。
しかし、私には突出した才能がなく、頭も良くない上にけっこう不器用です。何一つ抜きん出たことや実績もない、いわゆる凡人です。凡人の私が「事業アイデア」を生み出すのは本当に難しくて、ゼロからはとても無理でした。
また、オランダ企業やフリーランスへのインタビューを通して、「ただ記事を書くだけではなく、実際に日本に商品を紹介できないだろうか」とも考えていました。記事を読んでインスパイアされることも大事ですが、実物を手に取ったほうが、触れた人の人生に小さなインパクトを残せるはずです。
それであれば、取材対象にアプローチして日本で販売するような仕事をしてはどうだろうか?と考えるようになりました。ヨーロッパでは既存のアイデアであっても、日本に持っていけば新鮮なアイデアかもしれません。
そして現在、取材先の一つであったオランダのウールスローケット「MoST(モスト)」の日本での販売に取り組んでいます。
5月にスタートしたクラウドファンディングは、達成率504%で終了し、日本での本格販売の準備をしているところです。
この仕事も、自分一人でゼロから生み出したものではないし、実際の販売などは日本の企業の方々がしてくださっています。私は日本企業にMoSTを紹介して広報などの仕事をするだけで、人の縁がなければ何も進めることはできません。自分の次の夢は、縁なくして叶わない、と痛感しています。
世界を変えるような大きな仕事はできないし、アスリートやダンサー、クリエイターのように表現で人の心を震わせるようなこともできません。でも、そういった突出した才能がなかったとしても、私にとって仕事とは、生きる意味の一つだし、自己表現のひとつです。
オランダで出会った人々、気づき、全く違う価値観やライフスタイルを、仕事を通して発信して、日本とヨーロッパをつなぐような仕事をすることが、私の次の夢です。
今までは「自立するんだ」と「自分のこと」しかみていませんでしたが、少しだけ視野を広めて、自分が社会に対して何か働きかけることの意味ってなんだろう?そこに必然性はあるのだろうか?と考えるようになりました。
これが今の私の「夢の先」です。見つけるまでに4年もかかってしまいました。時間はあっという間に過ぎ、新卒で働き始めてから14年の時が経とうとしています。あと14年経ったら私は50歳で、きっとあっという間にその時が来るのでしょう。
50歳になった時に「ああ、もっと頑張ればよかった」と後悔したくありません。大きな才能はなくても、少しの背伸びとたくさんの努力をして、「頑張ってきたな」って自分に言ってあげられるような生き方をしたいです。