オランダで個人事業主の登録が完了したら、次は納税の準備をしなければなりません。オランダも日本と同じく申告納税制度を採用しているため、個人事業主は自分で1年間の所得を計算・申告するか、会計士さんに書類の作成を依頼する必要があります。
日本では会計ソフトのfreeeを使って自分で確定申告をしていました。しかし、オランダはまだわからないことも多いため会計士さんにお願いしています。
この記事では、自分で調べたことや会計士さんに聞いたことをまとめます。
目次
オランダのフリーランス、ZZP
オランダでは、フリーランスはZZPと呼ばれます。ZZPはzelfstandige zonder personeelの略で、「従業員のいない独立した個人」を意味します。
細かい違いはありますが、日本でいうところの個人事業主。オランダ人だけではなく、私のような移民フリーランスも含まれます。オランダ商工会議所(kvk)の記事によると、オランダ国内の事業主の7人に1人が外国人だそうです。
オランダの確定申告
確定申告とは、一年間(1月1日〜12月31日まで)の所得を計算・申告し、それに基づいて納税をすることです。オランダも日本と同じく申告納税制で、フリーランスは自分で所得と納税金額を申請する必要があります。
VAT申告と期間
オランダ国内で商品・サービスを提供する場合、売上にBTW税を上乗せします。BTWはVAT(Value Added Tax / 消費税みたいなもの)のことで、年4回徴収。集計と申告期限は以下です。
- 1月〜3月(申告期限は4月末)
- 4月〜6月(申告期限は7月末)
- 7月〜9月(申告期限は10月末)
- 10月〜12月(申告期限は1月末)
それぞれの申告の締め切りは、会計士さん曰く次の期間の最初の月の終わり。
会計士さんには、VAT申告のために経費と請求書を提出します。申告が完了すると還付金を受け取れます。
確定申告と期間
オランダの会計年度は1月1日から12月31日までで、確定申告の期限は5月1日。
なお、4月1日までに申告書を提出した場合、税務当局は7月1日までに申告書を評価するそう。
VAT申告のために提出した経費と請求書をもとに、会計士さんが確定申告を行なってくれます。
オランダの確定申告と控除
日本で確定申告をする時、節税のキーワードは控除と経費でした。
控除とは、課税対象となる所得から差し引けるお金のこと。控除が多ければ多いほど、課税所得が少なくなるので節税できます。オランダも申告納税制度だから日本同じはず。控除について会計士さんに聞いてみました。
VAT申告と確定申告それぞれポイントがあるそうです。
VAT申告での控除
まず、ヨーロッパ外の国の企業と取引をする場合、VATは乗せてはいけないそうです。なおヨーロッパ内でも、対企業か対個人かによっても異なるそう(この部分よく聞いてなかった)。
経費については、例えば仕事の打ち合わせのために日本を訪れた場合、航空券は控除対象になります。しかし、EU国内を電車などで移動した場合、控除の対象はチケット代ではなく距離です。具体的には、1kmあたり19セントが控除されるそう。
レストランで食事した場合、テイクアウトは控除対象、店内で食べた場合は控除対象外。また、仕事に関わることだとしても服は控除対象にはならないそうです。ただし、お店のロゴが大きく入ったトレーナーを作った場合などは控除対象になります。
確定申告での控除
「確定申告に関しては、オランダにはあんまり控除はないよ」と言われました。日本の所得控除は14種類もあった上に青色申告にすると特別控除まで受けられたのに…。
オランダで個人事業主が受けられる控除には条件があります。年間10,000ユーロ以上の所得があり、1,225時間以上その事業に従事していること。この条件を満たすと、7,000ユーロもの控除を受けられます。
また、基本的な健康保険にプラスで何か保険に入っている場合は、それも控除の対象になる可能性があります。事業をスケールするための研究・勉強費用も控除対象になるそう。
オランダ語ですが、控除に関してはkvkの『Betaal minder belasting via aftrekposten』がよくまとまっています。
オランダ人の会計士と相場
私は2019年度までは友人に紹介してもらったSchipper & Paul Accountantsに申告をお願いしていました。Baseconeという会計システムを使って請求書や経費のレシートをアップ・やりとりします。金額は月額70ユーロくらいだったと思います。相場よりちょっと高めですが、丁寧で質問にもしっかり答えてくれます。この会計事務所にビザ更新のためのバランスシート作成も依頼して、ちゃんとビザ更新できました。
2020年からは、ロブに切り替えました。私は自分1人で経営してる事業のほかに、オランダの友人と共同経営している事業があります。後者の事業の会計をお願いしていたのがロブで、3ヶ月で100ユーロと安い上にFace to Faceでたまに打ち合わせができます。2つの事業をまとめて会計してもらうために切り替えました。英語がちょっと苦手かも…と友達が言ってましたが、特に問題なくコミュニケーションが取れてます。
オランダ人の会計士さんの相場は、だいたい月額50ユーロくらいだと思います。他の日本人フリーランスの話を聞いてると、それくらいかと。人によって全然連絡返ってこないなど対応に差があるようです。
オランダの会計ソフト
もう少しオランダの確定申告に慣れたら、自分で申告作業をしてみたいと思っています。オランダ人の友人たちに聞いたところ以下の会計ソフトがメジャーなようです。
私は2020年3月からmoneybirdを使い始めました!見積書・請求書も作成できて、アプリから簡単に経費登録もできます。60日間の無料期間があるので、使い勝手を試してみようと思います。
オランダの会計ソフトMoneybird(マネーバード)を使い始めました
まとめ
オランダの確定申告で押さえておきたいのは、年4回のVAT申告と年1回の確定申告。それぞれ期間が異なりますが、必要なものは請求書と経費のレシート。所得からは、経費と個人事業主控除や保険料を差し引きます。
バックオフィス作業は煩雑ですが、重要なのでこれからも新しく知ったことなどこちらに追記していければと思います。