2020年3月半ごろからヨーロッパはコロナの感染状況が深刻になり、剣道ももちろん自粛。ずっとステイホームで空気も殺伐としていました。何か自宅でできることはないかと日本の先生に相談したところ、剣道のオンラインセミナーを実施していただけることになりました。
ヨーロッパはワクチンの摂取も始まっているのですが、まだまだ落ち着くまで時間がかかりそうです。屋外でのトレーニングや素振りなどはできますが、防具をつけての稽古は1年近く、ほとんどできていないです。
日本では稽古・審査・試合を再開しているので、「オンラインセミナーって需要あるの?」と思うかもしれません。しかし、海外向けはまだまだ需要があると思います。
また、コロナが収束した後も、オンラインでつながる機会が継続できれば、頻繁に先生方が訪問できない国・地域にとっては、とても嬉しいはずです。
ここ一年でオンラインセミナーを10回ほど企画・運営しました。実施するにあたって、快適な環境を作るためにした工夫をこの記事にまとめたいと思います。これから海外向け剣道セミナーを実施したい方にお役立ていただけたら幸いです。
なお、「うちはこうしているよ」「この機材や進め方がおすすめ」などありましたらぜひコメントいただけたら嬉しいです!
目次
剣道のオンラインセミナー実施の背景
剣道のオンラインセミナーを実施した背景を詳しくご紹介します。
海外(主に西欧)の状況
2021年5月時点で、オランダはまだ防具をつけて稽古ができません。2020年3月にロックダウンが決定してから7月まで全く稽古ができず、9月まで2ヶ月だけ稽古ができましたが、気合はNGで(政府が大声を出すことを禁止しているため)、10月からまたロックダウンになりました。西欧の周辺国も同じような状況です。審査・試合はもちろんできません。
楽しみにしているセミナーも中止に…
オランダには毎年夏に筑波大学の先生方がいらっしゃってセミナーをしてくださいます。人気のセミナーで、毎年100人以上の剣士が色々な国から集まります。コロナの影響で国際間の移動が制限され、リアルのセミナーはできなくなりました。
現在、ヨーロッパのほとんどの国は危険国として指定されています。オランダ以外の国にも、日本から先生が来て講習会を実施してくださっているのですが、こんな状況なので誰も来れません……。
運営の主体
個人的にオンラインレッスンを企画することもあり、その場合は無料で実施しましたが、剣道時代インターナショナルとして「告知」「参加者管理」「コンテンツ管理」などガッツリした際は、参加者の方から費用をいただきました。
告知方法
- Kendo Jidai International(剣道時代インターナショナル)のWebサイトで日本語・英語で告知ページを作成
- Google フォームで申し込みフォームを作成
- 剣道時代インターナショナルの各種ソーシャルメディアアカウントで告知(Facebook、Instagram、Twitter)
- メールマガジンで有料会員向けに告知
料金と決済方法
料金は、無料の場合と有料の場合があります。毎回30-50人の方が参加してくださいました。
無料の場合
無料で実施する場合は、Kendo Jidai International(剣道時代インターナショナル)の有料会員にご登録をお願いしました。月額6ユーロを支払ってくださってる方は無料です。
有料の場合
有料の場合は1回一人2000円に設定しました。事前準備や機材などの備品、先生方への謝礼、通訳含むスタッフの稼働を鑑みて設定しています。
リアルでセミナーを実施する場合も、3日で100ユーロ(約1万3,000円)、1日30ユーロ(約4,000円)なので、リアルのセミナーとの金額のバランスも考えるとこの価格帯が一番かなと思いました。
決済方法
決済方法はPayPal、Stripe、Apple Pay、iDEALです。
スタッフ
実際にセミナーを実施してくださる先生の他、
- セミナー当日のファシリテーター
- 決済システム担当
- 通訳
- 元立ち
で実施しました。
内容
内容は、素振りや基本、試合動画の研究など様々です。筑波大学の鍋山先生のセミナーは一年で5回、開催しました。
- 第一回・第二回:素振り
- 第三回・第四回:試合
- 第五回:重心
第一回・第二回は素振りがテーマでした。正面素振り、左右面素振り、早素振りの動画をあらかじめ送ってもらい、先生が一つずつチェックしてくださって、コメントをスプレッドシートにまとめました。コメントには傾向があったので、注意点をカテゴリ分けし当日に解説していただきました。
第三回目・四回目のテーマは試合です。過去の「負けた試合」の動画を送ってもらい、それに対して先生からコメントをいただきました。これもスプレッドシートで管理し、先生にコメントをいただいてカテゴリ別に分類。
五回目のテーマは重心です。第四回までのセミナーで話題によくのぼったのが重心でしたので、さらに内容を深めようということになりました。
募集から開催までにしたこと
上記の内容を告知してからセミナー当日までにしたことをまとめます。
- セミナー告知
- セミナー参加者を事前にFacebookグループに招待
- Facebookアカウントがない人もいるのでメールでも案内を送付
- 問い合わせ対応
- 事前に動画を提出して欲しい旨を連絡。動画はFacebookグループにポストするかYouTubeにアップを依頼
- 集まった動画(30-40本)をスプレッドシートにまとめる
- 先生がスプレッドシートに記入してくださったコメントを翻訳
- セミナー開催前に、動画コメントを記載したスプレッドシートを参加者に共有
- セミナーの予行のためにテスト接続の日を設けて練習(予行は絶対やったほうがいいです)
- 参加者にzoomのURLを送付
当日の機材
スクリーンは床置きタイプのものを使用。スクリーンの上にWebカメラを置いて、先生がスクリーンに映る自分の姿を確認できるようにしています。
スクリーンがない場合は、モニターに接続。
- パソコン2台
- ワイヤレスイヤホン
パソコンは2台使用。1台は先生の動きを映すためのもの、もう一台はファシリテーション用。bluetoothのワイヤレスイヤホンを使用して先生にはお話いただきます。
- 大学のwifi
- 予備のポケットwifi
- zoomの有料アカウント
大学のwifiを使わせていただいた他、いざという時のためにポケットwifiも持っていきました。wifiは色々比較したのですがWiFiレンタルどっとこむがおすすめ。
セミナー当日の流れ
セミナー当日の流れです。
準備
セミナーが始まる1時間から30分前に集合して、機材の準備と接続テストを行います。
オンラインセミナーの流れ
- 冒頭5分で挨拶とハウスルールの説明
- 先生のセミナー開始。随時質問を受け付けながら進行
- 質疑応答
- 希望者には居残り
どの講義も90分なのですが、いつも時間が足りなくなります。冒頭の挨拶をコンパクトにしてセミナーにフォーカスすることをお勧めします。
オンラインセミナー実施後にしたこと
- 動画の録画を共有(VimeoもしくはYouTubeの限定公開機能を活用)
- Googleフォームを使って満足度調査
- レポート作成
まとめ
こんなところでしょうか。
どこかの国から依頼を受けたときやオンラインセミナーの必要がある際に、この記事が役立てば幸いです。