2017年にオランダに移住してから、ずっと考えてきたことがあります。それは、「自分の仕事で、どうやって社会に貢献するのか」ということです。せっかく働くのだから、お金を稼ぐだけじゃなくて、自分だけのユニークな仕事をしたい。でも、なかなかそれが難しく、一体自分の仕事にどんな意味を持たせたらいいのか、ずっとずっと考えてきました。
時間がある時にノートにアイデアを書き出して、考えて、「いまいちだな」とガッカリすることを繰り返してきました。お金は貰えても、この仕事にいったい何の意味があるのかわからないこともありました。でも、それでも目の前の仕事をこなすうちに、取り組みたいテーマが固まってきました。そして最近ようやく、「私は文章を書いて社会に貢献していこう」と考えるようになりました。
文章でどうやって社会に貢献するのか
私は現在、Webメディアに記事を寄稿したり、企業向けに文章を書いて収入を得ています。前者は「働き方」「フリーランス」「海外移住」「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」「海外での日本文化(特に剣道)の広がり」について。後者は、オウンドメディアを持つ企業向けに採用・広報支援の記事を書いています。
どちらも「この会社や活動は、これからの社会に必要だ」と確信できるところに取材をしたり、コンテンツを提供するよう心がけています。
私が書きたいのは「未来を作る人たちの物語」です。
文章を書いて広めることには責任が伴うし、お金がもらえるからという理由だけで無責任なことはできないと考えています。
どんな未来を望んでいるのか
皆さんは「望む未来」について考えたことはありますか。普段、ほとんど口にすることはないのですが、私は下の世代の子達が幸福に暮らす未来を実現したいと考えてます。
この話をするときに、私が思い浮かべるのは東京やヨーロッパの剣道道場で知り合った子ども達です。
彼らが、社会や大人や、その他諸々のよくわからないものに抑圧されることなく、自由に、幸福を追い求めることができる社会を私は望んでいます。
だから、私にとって「未来を作ること」は、「人々を自由にすること」と限りなくイコールかもしれません。どんなキャリアを歩もうと、誰を愛そうと、他の人にどうこう言われることなく、自由に生きてほしい。それが私の願いです。
自由な未来を実現するためにできること
望む未来を掴むために、微力ながら私ができることは、以下の2点だと考えています。
- いまより社会を良くする企業・人たちの活動を、文章で社会に伝えること
- 日本人が昔から大切にしてきた価値観の中で、普遍的に優れたものを見つけ、伝えること
2を達成するため、ヨーロッパにおいて剣道がどのように受け入れられているのか、私の生涯をかけて取材し、記録し、伝えていきたいと考えています。
なぜ剣道なのか
オランダに来るまでも剣道のことは好きだったけれど、その文化性にまで視点を広げて考えたことはありませんでした。
剣道は、儒教、仏教、神道全ての影響を受けていて、日本人でも忘れがちな(あるいは、当たり前すぎて意識しない)倫理観や、日本人らしい所作が詰まっています。
私が特に好きな言葉は、竹刀の節と袴のひだに込められた「五徳」の考え方です。五徳とは仁義礼智信のことで、人を思いやる気持ち、正義の心、相手を尊重する気持ち、知識を追い求める心、信じる心を表現しています。卑怯なことをせずに、正々堂々生きていくために心を鍛えることが剣道だと私は考えています。
衝撃だったのは、戦争中のウクライナ剣士たちがヨーロッパの剣士たちに支えられ、クラウドファンディングで公式戦に参加したことです。日本から遠く離れたヨーロッパの剣士たちが、剣道を通した世界平和を体現しているのです。
全日本剣道連盟は、剣道の理念の中で「世界平和」について言及していますが、日本にいると普段ほとんど「平和」を意識することはありません。
でも、このウクライナでの一件を見ると、私は日本の子どもたちが剣道を続けることは長い目で見て世界平和につながると思うし、日本人の強くて優しい心を継承していくことにつながると考えています。
これからについて
日本での合同会社設立
これから私は日本で合同会社を作って、企業向けの広報・採用支援のためのエディトリアルサービスを始めようと考えています。また、「働き方と幸福」「海外剣道」「ウクライナ」「サーキュラーエコノミー」をテーマにそれぞれメディアを立ち上げ、運営していきます。引き続き、メディアへの寄稿も続けます。
オランダでの剣道道場運営
オランダでは子ども向け・初心者向けの剣道クラスを始めます。数年前に剣道道場の立ち上げは行っていたのですが、コロナが原因で初心者や子どもクラスの立ち上げが遅れてしまいました。
特に子どもたちにとって、剣道は日本人としてのアイデンティティを保つのにとても力になるはずだと考えています。単に運動として剣道を伝えるのではなく、その文化性まで伝えること。そして、剣道を通してオランダの子どもにも日本の文化を伝え、さまざまな国の剣士たちと交流する素地を作ることが私の夢です。
オランダでの文章教室
剣道道場だけではなく、大人・子ども向けの文章教室の開講も考えています。
メールのやりとり、プレゼン資料作成など、文章作成能力は社会人になってからもずっと求められるスキルです。また、文章を書くことは自分と向き合うセラピーのような効果もあると私は考えています。
単なる「読書感想文」的な文章教室ではなく、何かテーマを設けて、それについて文章を書くような教室の開講をイメージしています。
そしてゆくゆくは子どもたちと一緒に編集部を作り、オランダの素敵な人・モノ・サービスを紹介するような「子どもマガジン」を作れたらいいなと考えています。これが私の向こう5〜10年の夢です。
名声や栄誉もないし、大きな資金調達はできないけれど、私にとって仕事は、一生をかけて取り組んでいきたい課題であり、絶対に誰にも奪われたくない宝物です。もしかしたら全然共感されないかもしれませんが…少しだけ勇気を出して、文章に残しておきたいと思います。