ふだんTVを全く観ないのですが、カナダ人の友達が「これはひどい!」と憤っていた「ぶっこみジャパニーズ」を観ました。
アメリカで総合格闘技?みたいな道場に若い剣士が潜入して、その稽古を体験後、正体を隠して道場主をやっつける!という企画。
カナダ人の友人とは会社員時代の同僚。剣道が大好きで、会社の剣道部を創設したり、会社の忘年会でまわりから冷たい視線を受けながらも、剣道着で参加して部員を募ったりしていました。段持ちの人の内定が決まった時は、どこからか情報を仕入れて入社前に剣道部に勧誘。
こんな人なので、「ぶっこみジャパニーズ」の動画を見つけてきたときもまたストーカーっぽいことして…と最初は思いました。
何に怒っていたのか
まず、海外剣道を馬鹿にしていると怒っていました。そして、誤った印象を与えるのではと危惧もしていました。
アメリカは世界大会で日本に勝利したことがあるほど、皆さん真剣に剣道に取り組んでいます。
アメリカだけではなく、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ…私が普段暮らしているオランダの人たちも、本当に真剣に日本の文化を学ぼうとしています。
例えば、下記の記事で、筑波大学の鍋山先生はこのようにおっしゃっています。
アメリカは世界大会前に、仕事を辞めて臨んだりします。『勝ってやるぞ』という気迫がすごい。
技術ではなく、ハートが素晴らしい。台湾開催の世界大会の時、日本代表はアメリカに負けました。
私はその世界大会前に、アメリカ代表と稽古しましたが、はっきり言って彼らは日本代表に勝つだけの力はなかった。
しかし、彼らは日本代表に勝利しました。技量を越えたハートの勝利だったと思います。
「【剣道日本掲載】”剣道に没頭してほしい” 筑波大学 鍋山先生 海外剣士への思い」
また、専門雑誌『剣道日本』の元編集長・安藤さんはこのようにおっしゃっています。
今までの仕事のなかで、世界大会が本当にショックだったんです。どこの国も強かった。強かったけど、それ以上に「みんな日本が好きなんた」と感じました。
当時、僕はまだ20代半ばだったので、生意気なところもあったのですが、海外剣士の皆さんを見てそんな気持ちはひっくり返りました。
この人達から刺激をいただきたい。すごい、と思ったんです。アメリカで開催された時も取材に行きましたが、そこでも大変驚かされました。
世界大会は開催が日本だから盛り上がっているんじゃないかと思ったら、アメリカもとても盛り上がったんです。
準備も大変だろうけど楽しそうにやってました。ホスピタリティもちゃんとしていて…。
『剣道日本』休刊と雑誌に懸けた40年分の想い
なので、もし番組を見た方のなかで「アメリカの剣道ってやばいな」って思った方がいらっしゃいましたら、全くそんなことはありませんので、ぜひ2018年に開催予定の世界大会をご覧になってください。
文化を通して交流することについて
上記の記事で、安藤さんはこうもおっしゃっています。
「僕は、日本の中でしか剣道をやったことがなかったんです。東京でしかやってない。だから、こういう世界があるんだって知らなかった。
だから今後は、日本の剣道だけじゃなくて世界剣道もみなさんにもっと知ってほしい。外国の考え方を知り、お互い学び合えたら素晴らしいんじゃないかと。」
私を含め日本人は英語が苦手な方が多いのではないでしょうか。でも、共通の文化を持つことで、交流ができます。剣道なんかは性格も反映されるので、一緒に稽古をすると、分かり合えたような、初めて外国語で会話できたときと同じような感動があります。
番組でも皆最後はびっくりしていたのですが、日本の人たちの剣道って速いし、強いし、なんかほんとに人間?みたいな動きをします。小さい頃からやってる人も世界で一番多いです。
でも、だからといって海外の人たちが劣っているとは私は思いません。
精神性や美しさに憧れて剣道を始めてくれる方が多いのですが、その国によって、誇りを持って日本文化を学ぼうとしています。
海外では、大人から剣道を始める方々が多いです。仕事で結果をだしていらっしゃる優秀な方々がたくさんいます。
そのような方々ですから、日本人に比べて理解度・考え方が劣るということはまずありません。
海外の方の考え方を否定したくないですし、こちらの考え方を強制したくないのです。
海外の歴史を尊重しています。
例えば素振りです。日本ですと、号令者が素振りの回数を発声し、号令者以外が面と発声することが多いですよね。
海外では、みんなで『イチ、ニ、サン』と掛け声をかけたいようです。
日本語で発声するのが気に入っているみたいですよ(笑)
たしかに、オランダにも酢飯じゃないプレーンの米で作った寿司とか、忍者教室のポスター(ちょっと行ってみたい!)とかもあるんですけど。
でも、日本を愛してくれて、文化を真剣に学ぼうとしている人はもっともっとたくさんいます。
最後に、カナダ人の友達が「アメリカ剣道が誤解されたらどうしよう」と、本当に悲しい気持ちになっているので、記事に共感してくださいましたら、SNSなどでシェアしていただけますと幸いです。
2018年は、剣道を中心に日本の面白い文化をどんどん英語で発信していきたいと思います!ネガティブな記事ではなく、良い面を中心に。
2017年最後の記事でした。みなさま良いお年を。