平日のある日の出来事。仕事が終わってから少年剣道の稽古に顔を出しました。30分ほど遅刻してしまい、到着した頃にはすでに面をつけての稽古が始まっていました。
私が道場に入ったくらいのタイミングで若い先生が「挨拶」について厳しく子供達を叱っていました。その道場は、挨拶を徹底していて子供達も普段からかなりしっかりと挨拶をしてくれます。「おぉ、珍しく叱られてるなぁ」と、子供達を横目に着替えました。
その日の稽古が終わり、先生が「剣道だけ強くなっても意味がない。ただの強いやつが出来上がるだけ」みたいな話をしてて、いいこと言うなぁと聞き入ってました。「だから」と、最後のまとめで「佐藤先生が道場入ってきたときに、もっと素早く挨拶するように!」。
その時初めて、私に挨拶しなかったことで彼らが叱られてたと気づきました。
「稽古中だけど、目配り気配りができれば先生が入ってきたことに気づいて挨拶できたはず。挨拶は全ての基本。人として基本的なことが出来ない人を応援しようとは思わない。それに、こういう目配り気配りは、必ず試合にも通じる」
この出来事がきっかけで、挨拶について色々と考えてしまいました。
コミュニケーションの基本
どこの国の言語でも、最初に学ぶのはおそらく挨拶と自己紹介です。
人間関係は挨拶から始まり、良い挨拶は相手に安心感を与えるでしょう。
学校でも、社会に出てからも同じで、気持ちよく挨拶してくれる人は好かれるし、良い縁が運ばれてきているように感じます。
この会に私は入ったばかりで、指導らしい指導はしていません。錬成会について行って審判するくらいです。だから、「佐藤先生にもちゃんと挨拶しなさい」と、私のことを立ててくれて、すごくありがたかったし、会に迎えてもらえてるんだなと感じました。
このように、挨拶は新しくコミュニティや組織に入った人たちを受け入れるサインにもなると思います。私は少なくともすごくホッとしましたし、嬉しかったです。最近のビジネス用語を使えば、「心理的安全性の担保」につながるでしょう。
挨拶に気持ちを込める
別の日に他の先生が指導されてて印象的だったことに、「挨拶に気持ちを込める」という言葉があります。
先生に対しては、「技術を教えてください」と、意気込みを挨拶に込めること。
友達に対しては、「あなたと良い関係でいたい。良い友達になりたい」と友好の気持ちを込めること。
その気持ちを表現したものが所作。だから、所作一つ一つを丁寧にすることで、そこに込めた気持ちも伝わりやすくなるはずです。
挨拶とエネルギーについて
この会に初めて顔を出したのは7月頭。取材で訪れたのがきっかけです(今月の剣道時代に掲載されているので、もしよろしければご覧ください!)。
記事内にも書いてあるのですが、挨拶が元気で、笑顔で、とにかくエネルギッシュな子供達だなぁというのが第一印象でした。
取材で1・2回訪れるだけになるだろうなと思っていたのですが、なんだかんだ錬成会や部内戦、暑中稽古にも参加して、最終的に入会しました。
多分、ただ形式的に挨拶する子達だったら私は入会までしてなかったと思います。良い挨拶は人を惹きつけ、縁を呼び込むと改めて思いました。
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私の体験や感じたことから「挨拶はなぜ大事なのか」を書きましたが、挨拶ってもともとは仏教や禅の言葉らしいんですよね。挨拶の意味について調べたり考えたりするも結構面白いです。
最後に、オランダで剣道を続けている人たちが「剣道のいいところ」の一つとしてポツリと言ったことを紹介します。剣道やっている人って、いい人が多いらしいんです。
日本だと、国民性からかサッカーや野球でも礼儀を重んじますが、一歩外の国(特に距離のあるヨーロッパなど)に出ると、ラフプレーも多いです。だから、一旦剣道から離れて他のスポーツを習っても、「やはり剣道の方が居心地が良い」と戻ってくる人もいるそうです。
多分、こうやって小さい頃から「挨拶」「礼儀」を厳しく躾けられて、人に対して優しくあろうとする人が多いからではないでしょうか。だから、これは大切にしていかなければいかない日本の文化だと思います。