ここ数年ずっと考えていることなのですが、剣道における体罰やハラスメントって、どうやったら無くなるんでしょうね…。
社会人になってから、日本の少年剣道に少しだけ関わるようになって、このトラブルって本当に絶えないなぁと感じます。
- 先生に太鼓のバチで叩かれた
- 面はつけているが、耳のあたりを竹刀で強めに叩かれる
- 防具をつけていない部分を繰り返し叩く
- 吹っ飛ばして後頭部を打つ
- 竹刀でこづく
- 転ばす
やっている先生たちには悪気はありません。この方法で子供が強くなる、子供のためになると信じているからやっているわけで…。
先生が一生懸命であればあるほど、私はすごく心配になります。
休日も平日の自分の時間も返上で指導しているのに、「それ体罰ですよ」「暴行ですよ」と言われたら、きっとその先生は表面上は逆ギレしながらも、ものすごく傷つくはずです（一番傷ついているのは子供だけど）。
現代の価値観を受け入れたくない気持ちはわかります・・・・ただ、それはこういう話になります・・・
『道場における子供に対するハラスメント問題について』
「現代のお前たちが、昭和の俺の価値観に合わせろ！こっちはボランティアでやってんだ・・・四の五の言われたくないわぃ・・・！！」
60年以上もあった昭和の時代は、一人の一生が終わるほどの長さです。
今は昭和、平成を経て令和。
テクノロジーも環境も人も、大きく変わりました。
今はスマホがあるから、いつ・どこで・誰が撮影しているかわかりません。
事件として報道された前例もたくさんあります。
昔は地上波のドラマで、金八先生が生徒を張り手する姿が感動的なシーンとして描かれていましたが、今やったら教育法に触れるし、普通に暴行罪です。
だから、誤解を与えるような行動は少しでもしないほうが賢明だと思います。
こんなこと、私がえらそうに言うことでないのですが…。
でも、歴史ある剣友会が体罰問題などがきっかけで解散になったと聞いて、もう少し、なんとかならなかったのだろうか…と、本当に切ない気持ちになりました。
指導者の先生はきっと、何年も何年も子供たちのために身を捧げてきたはずです。子供たちも、保護者の方もそれに応えて頑張ってきたはずです。そういう色んな人の努力が、台無しになってしまうと思うんです…。
体罰問題を語るとき、一番最初にケアされるべきは子供です。
小学校の低学年は特に、バチや竹刀で大人が思い切り叩くべきではないと私は考えています。大人も、本人ですらも気づいていないかもしれませんが、脳震盪を起こしている可能性があります。鼓膜も心配です。破れてからでは遅い。
防具をつけてない部分を叩く理由はなんでしょう？よくよく考えたらありません…。理にかなわぬ行動は慎むべきです。恐怖で子供を支配しても、何にもならないし、きっと指導者の先生方は、そういった方法に頼らなくとも子供を導くことができます。
ここ10年、体罰や暴力に耐えられず道場を去る子供を見るたびに、悲しくなりました。この子たちとの縁は、もう切れてしまうのかなって。大人になってたら、一人一人、きっと全然違う人生を歩むはずです。仕事のこと、好きなこと、私よりずっと若い子たちの感性で、私の知らない世界を教えてほしい。そう思って、私は少年剣道に関わっています。でも、こういうトラブルで道場を去る子は、きっともう剣道には戻ってこないでしょう。
本当に、どうやったら体罰ってなくなるのでしょう。ここ数年ずっと考えてて、メディアに寄稿したこともあるんですけど、何も変わっていない気がします。
そんなことを考えていたときに、戸塚道場の槌田先生が『道場における子供に対するハラスメント問題について』を書かれていました。先生のブログは、少年剣道の多くの指導者の先生方がご覧になっています。インターネット上での発言をためらう先生は少なくありません。そんな中、共有が容易なブログという形でこうやって問題提起してくださることは本当にありがたいです。
先生がブログの中で書かれているように、体罰の代替手段を思いつくような、現代の価値観に追いつくようなコンプライアンス研修があればいいのですが…。
子供の人権意識が高いヨーロッパでは、こういった話題はほぼ皆無です。中にはあるかもしれないけど、私の周りで日本ほどハードでやばいエピソードは聞いたことがありません。本当に少しずつ、少しずつ、なんとかしていくしかないのですが、でも、子供たちからしたら私のそんな甘い態度は最悪なはずです。彼らからしたら今この時が一大事だから。
いつもこうやって頭を抱えて、答えは出ません。何も行動しなくて、子供に対しても指導者の先生に対しても、保護者の方に対しても、役立たずで本当に申し訳ないと思っています。
