4月27日・28日にベルギーで開催された子鹿カップという大会に参加してきました。
子供が頑張っている姿を見るだけで自分は目頭が熱くなるくらい感動の沸点が低いので、笑いあり感動ありの良い2日間でした。
日本との違いや同じところなど、色々発見もあって楽しいです。
大会の概要や日本の大会との違いなどについて記録しておきたいと思います。
日本の大会との違い1:国際色が豊か
子鹿カップの開催は27回目、参加国は9ヶ国、あと1人で200名参加だったのですが199名!の参加者でした。国際色豊かですね。
以下、参加国です。
- フランス
- ドイツ
- カナダ
- リトアニア
- ポーランド
- イギリス
- チェコスロバキア
- ベルギー
- オランダ
今回、一番驚いたのはカナダのチームが参加していたことです。コーチの方も来てたので、カナダにはジュニアのチームがあるんですね。すごい。
他国にもジュニアチームやジュニア専任のコーチなどいるものなのでしょうか?(知ってたら…誰か教えて…)
大会の運営の中心になっていた方の中には、ベルギー代表の若い女性剣士も。選手として活躍しつつ若い子の育成もしてるみたいです。利害関係なく、自分以外の誰かのために時間を使ったり、頑張れるのってほんとにすごい。
オランダは、この会場に来るのに車で3時間くらいかかるのですが、飛行機使わないといけない国もあったりして、みんな子供のために時間も労力もかけててすごいなぁと思います。
大人も試合数が日本ほど多くなく「もっと試合したい」といった声をよく聞くのですが、子供はもっと少なくて年に2-3回ほど。試合はとっても貴重な機会です。
日本の大会との違い2:名札
名札がほんとに様々です。世界大会やヨーロッパ大会などのオフィシャルな試合では、所属のところに国名、名前のところに国旗、名札の一番下にアルファベットで名前(ファミリーネーム)が入ってます。
でも、この国旗を入れられるのはナショナルチームの人たちのみらしく、多くの人は名前のところにカタカナでファミリーネームやラストネーム、道場のシンボルマークを入れたりしてます。「漢字がいい!」と無理やりあて漢字を入れている人も。
日本の大会との違い3:試合運営の細々したところ
その他、記録ボードが横書き、日本では「メ」「コ」「ド」と表記するところを「M」「K」「D」と表記するなどの違いが。反則の表記は同じです。
個人戦は、最初は3人の予選プール(リーグ)があり、予選を勝ち抜いた2名がトーナメントに参加します。予選がリーグになっているおかげで、子供の試合数も多くなるのでいいなぁと思いました。
その他、体育館に宿泊すると夜はディスコが開催されたり、親睦を深めるためにバーベキューも開催されました。バーベキュー美味しかった。
日本と同じところ
日本と同じところは、子供たち同士が交流してすぐ仲良くなるところです。日本で剣道していた時も、小・中学生はいつの間にか友達を作ってTwitterとかで繋がってたのですが、こちらも試合の後に友達になって交流が続いているようです。そういうのっていいなぁと思います。
思い返してみると、自分も中学生の頃、集合時間を間違えて誰もこない…と途方に暮れているところを同じエリアの中学校の先生とメンバーたちに助けてもらったことがあります。当時は携帯もなかったから連絡先を交換できなくて、それっきりになっちゃったのですが、今は気軽にゆるくいろんな人と繋がれるからいいですね。
試合が終わると、みんなキチンと対戦相手に挨拶をしに行ってて、それが交流のきっかけにもなるようです。また、先生方が試合の後にバーベキューを開催したり、泊まりで2日間に渡って試合を開催してくださることで、交流する余白ができているんだと思います。
私自身も、子供たちとおしゃべりしたり、保護者の方々とも話せてすごく楽しい時間を過ごせました。オランダの他道場の人たちもおそろのTシャツ作ってみんなで応援してて楽しかったな。試合の所感をカフェでまとめてたら、その人たちがぞろぞろ来て「マリコ〜早速レポートかい!?偉いなっ!hahaha!」と言われました。なんか、呑気でいいなぁと思いました。
オランダ人の保護者の人たちと話してて印象的だったこと
この道場には日本人が1人もいなくて、でも子供の数はけっこういます。10人くらい。アムスフォートという、オランダのなかでも日本人コミュニティがない場所で、よくここでメンバー集めてるな…といつも不思議に思ってました。
「日本人もいないし、日本人コミュニティもないのに、よくこのマイナー競技の剣道を理解してもらって、メンバー集めてるよね…?どうやってるの…?」と聞いたところ、いくつか理由的なことを教えてもらいました。その道場の先生は、私よりちょっと年上くらいの男性。段位は三段で最近ヘルニアになっちゃったそう。
その先生曰く、まず、中心になるリーダーの子供とお母さんの存在が大きいとのことでした。面倒見がよくて、色々後輩たちのお世話をしてくれます。それを他のおチビたちも引き継いでいるのか、試合前にうちの道場の子のことも気遣って声かけしてくれます。彼が中心となって友達を呼び込んでくれるみたいです。
そして、彼のお母さんもすごく温かい雰囲気の方で「剣道って、知らない子供から見たらとってもヴァイオレンス(暴力的)でしょ?だから、まずは子供たちに安心してもらうことが大事だと思ってるわ。私たちはあなたをいじめたりしないし、受け入れる、という姿勢を大事にしてます」と言ってました。確かに、文化も育ちも違うし、剣道見たことない子に始めてもらうためには「カッコいい」とか以前に「安全である」ことを感じてもらわないといけないですよね…。なるほどーと思いました。
そして、身体面での安全だけではなくて、心理的安全も大切なのかなと思いました。自分の居場所がキチンとあること、疎外されないことが保証されてないとダメだなぁと。
他のお母さんは、娘がきっかけで自分自身も最近剣道を始めたそうです。彼女には「剣道って、難しいこといっぱいあるじゃない?所作もそうだし、道着を着るだけでも大変!でも、周りの子達が思いやりを持って助け合って、教えあったりしているところが素敵だと思うの。それって、日本の文化でしょう」的なことを言われました。「はい…多分…!周りの人を助けるようにと言われてきました…」と答えたのですが、日々の忙しさにかまけて日本人もたまに忘れちゃってることのような気がします。反省。
また、入ってくる子もたくさんいるそうですが、やはり途中でやめる子も少なくないようです。そういう子達には、「サッカーやバスケットボールなど、他にやりたいことができたならそれでもいい。でもいつでも帰ってきていいよ」と伝えていると言ってました。
こうして文章にしてみると、なんてことのない、新しさもないアイデアや行動なのですが、実行するのってけっこう難しいのではと思いました。この子鹿カップという大会自体も、先生たちの思いやりや子供たちのために何かしたいという気持ちが具現化したものなので、自分もこの大会で感じたこととか、学びを元に何かオランダのジュニア剣道に少しでも貢献できたらいいなーと思いました。