年に何回か日本に帰ってくるのですが、前回帰国した際は、日大アメフト部の不祥事のニュース一色でした。
私の学校は私立のゆるい女子校だったのですが、そんな学校でも運動部は先生の独裁や過度な練習から学生が怪我をすることもありました。
昔は素行の悪い不良たちの防衛行為の一つとして体罰が使われていたこともあるようですが、ここ最近はスポーツ業界で「体罰はタブー」の流れです。私が所属していた剣道道場で、指導者とのトラブルとして体罰が挙がったこともあり、体罰とその対応について調べたことをまとめます。
体罰に対する各都道府県の対応
体罰は子どもの心と身体を傷つけるものであり、法律で禁止されています。「愛のムチ」が暴力という形をとるとき、それは明確な違法行為です。
体罰による指導は、教師としての未熟さを示すものであり、これにより、正常な倫理観を養うことはできません。そのような指導は、むしろ、児童生徒に負の教育的影響を与え、暴力行為、いじめなどの土壌を生じさせることとなるのです。
殴る、蹴るなど身体に対する侵害となるような懲戒や、特定の姿勢を長時間にわたって保持させるなど肉体的苦痛を与えるような懲戒はもちろんのこと、心を傷つける「言葉の暴力」も、あらゆる指導の場から根絶されなければなりません。
参考:「徳島県教育委員会 コンプライアンス」
最近のスポーツ界・教育界の不祥事を受けて各都道府県が体罰防止ガイドラインを引いてます。「身体的な暴力」「言葉の暴力」も体罰に該当します。体罰は法律違反ではないですが、教員であれば法律違反で免職になる可能性もあります。
参考:
「指針、32自治体 都道府県・政令市 中高などの部活」
「体罰防止ガイドライン~ 神奈川からすべての体罰を根絶するために ~」
「山形県教育委員会 体罰等の根絶と児童生徒理解に基づく指導のガイドライン」
ガイドラインの必要性
セクハラやパワハラと同じで、体罰も明確な線引きが必要です。何が苦痛かは個人によって異なることもあり、明確な事例があるほうが判断しやすいでしょう。江東区のラグビークラブでは、独自に体罰に対するガイドラインを引いています。
体罰の定義、具体例、懲戒の対象となること、チェックシートなどが書かれていてわかりやすいです。
”ボランティア”という立場に甘えないこと
野球、サッカー、剣道…地域スポーツはボランティアで成り立っていることが多いです。一説によると、このボランティアの風土が体罰や諸問題を起こす原因の一つのようです。國學院大學人間開発学部健康体育学科 教授 大森 俊夫先生が神奈川県の体罰防止ガイドラインに執筆していた内容を一部引用します。
アメリカと日本の最も大きな差異はアメリカでの指導者は給料をもらい、プロとしての意識を持ち、社会的な地位も高く尊敬されていることが挙げられます。指導者を管理する組織も確立しており、指導者の能力や成績等も管理されており、体罰が起こらないような工夫が見られます。また選手の意識も指導者と対等な立場で、意見交換等も行います。日本ではボランティアの指導者が多く、恵まれた条件の指導者は少ないのが現状です。
「時間をかけたことにはお金をもらったほうがいい」といった意見がありますが、もはや「時間をかけているから」ではなく「子供たちの心理的・身体的安全のために、担保としてお金を取るべき」なのかもしれません。