なぜオランダはワークライフバランス先進国と呼ばれるのか

オランダはワークライフバランス先進国だとよく聞きますが、どういった点で進んでいるのでしょう。
先日、オランダ大使館がWorld Economic Forumの『The Dutch have the best work-life balance. Here’s why』の記事をツイートしていて、気になったので読んでみました。内容は、「オランダがワーク・ライフ・バランスで優れている理由」。翻訳しつつ自分の実体験やまわりのオランダ人にも意見を聞いてみました。

OECDのなかでワークライフバランスはNO.1

OECD Better Life Indexによると、オランダはデンマークを抜いてもっともワークライフバランスが良い国に選ばれました。この調査はOECD加盟国35カ国を対象に行われ、仕事・家族との約束事・個人の時間などのバランスをはかったものです。
ワークライフバランスに関しては、10点中オランダは9.3、次点のデンマークは9。35カ国中もっともスコアが低かったのはトルコの0(!)。その次はメキシコの0.8です。日本は下から5番目の4.8でした。

週50時間以上働く男性はわずか1%

オランダでは、長時間労働を定常的に行っているのはたったの0.5%(女性の長時間労働の割合は、計測できないくらい少ないとのこと)、他のOECD加盟国の平均は13%です。また、週に50時間以上働く男性はわずか1%だそうです。
長時間労働の代わりに、彼らは1日のうち16時間を食事や余暇、睡眠に充てているそう。オランダでは、男性も仕事を早く切り上げて子どもを迎えに行くことも多いのだとか。

93%の子どもが幸福を感じている

子どもの貧困率は平均以下で、子どもの幸福度は世界一と言われています。11〜15才の子どもの93%が幸せを感じています

これには、父親と母親の労働時間と育児参加が関係しているのではないでしょうか。
オランダに移住した農業トランスレーターの水城 悠(ミズキ ユウ)さんによると、オランダでは出産前から男性の育児参加が奨励されているそうです。

出産前から父親は子供とのかかわり合いに参加が奨励されています。例えば、出産前に両親で参加する勉強会。日本でも同様の取り組みはありますが、平日の昼間であることが多いです。一方、オランダは、夕方のため両親が二人とも参加できます。このように、「育児への父親の参加は、子どもにとっても、母親にも良い」と、家族を大切にする文化があります。
参照:『持続的で合理的。オランダに移住した農業トランスレーターが語る、オランダの5つの魅力

オランダでは、働いている女性は1980年代には35%でしたが、現在は69.9%と約2倍に。OECD加盟国の平均57.5%を大きく上回ります。
また、オランダは若者の失業率の低さ教育レベルの高さでも有名です。オランダで生活していて「みんな気持ちに余裕があってぎすぎすしていない」と感じました。失業率が低く、労働時間も長くないことが精神衛生上良いのではないでしょうか。

オランダで知り合った友人は、大学でマーケティングを専攻。1年次に会社を作り2年次に実際に商品を売り、自分たちで経理も行い、3年目でインターン、4年次に卒論といったカリキュラムだったそうです。小学校から高校まではほとんど宿題も出ずにのびのびとした学校生活を送り、大学時からは熱心に勉強すると言っていました。

投票率は82%

投票率は82%、OECDの平均が69%であることを考えるとかなり高いです。特に富裕層の投票率は92%とかなり高め。
日本だと仕事が忙しくて投票にいけない、政治に興味がない、期待もしていない……といった悲しい現状ですが、オランダでは積極的に政治に意見を反映してもらおうという意思があるようです。

労働時間は家族や子どもの幸せに影響する

ワークライフバランスが崩れると、その影響を大きく受けるのは”家族”です。そしてワークライフバランスを大きく左右するのは労働時間。OECD加盟国でも8人に1人が週に50時間以上働いており、16%以上の男性、8%の女性が長時間労働をしているそうです。

1日は24時間しかありません。労働時間が長すぎるということは、余暇の時間が削られるということです。OECDは、健全な生活のためにもっとひとりひとりの生活をケアすることが大切としています。リラックスできる余暇の時間や、家族の時間を持つことは、当たり前ですがとても大切です。

また、両親が揃って穏やかに生活している様子を見ていれば、子どもも幸せに育つのではないでしょうか。実際、オランダ人は家族と過ごす時間が長く、それが子どもの幸福度の一因となっているようです。

日本人のワークライフバランスは?

OECD Better Life Indexによると、日本人は1日のうち14.9時間を余暇や睡眠に使っているそう。OECDの平均の15時間を少し下回るそうです。ということは、労働時間は約9時間。(あれ?もっと長い気がするんだけど…笑

OECDのレポートで問題視されていたのは、労働時間よりも出生率の低さと、社会や企業のサポートに関してです。子どもが生まれても預けられる場所がないことや、高い費用を払って保育園に子どもを預ける必要があるため家計を圧迫し、さらに、女性は一度職場を離れると復帰が難しく、パートタイムとして働くしかない、給料も下がる、キャリアが築けない…などの問題が指摘されていました。

中学・高校の友人が偶然、フリーランスとしてオランダに移住し、いまは現地企業に勤めています。友人いわく、「オランダ人は企業に守られている」そうです。残業はほとんどなく、労働環境が日本と比べるととても良いのだとか。
私もコワーキングスペースで普段働いていますが、18時ちょっと前になるとみんな一斉に帰宅します。かと言って、生産性が低いかと言えばそうでもありません。東洋経済オンラインの『高品質・低価格という「犯罪」が日本を滅ぼす』によると、国民1人あたりのGDPが日本は29位なのに対してオランダは14位。また、オランダからはBooking.comやTakeawayなどのユニコーン企業も誕生しています。

まとめ

オランダ人を見ていると、思い切って1日8時間で仕事を切り上げて、他のことに時間を費やすことも良いのかなという気持ちになります。日本にいるとついつい働きすぎてしまうのですが…。労働時間と生活のバランスをとった上で、子どもの幸福度も高く、政治への参加意識も高い、こういった点はぜひ見習いたいところです。



参考記事:
The Dutch have the best work-life balance. Here’s why

Work-Life Balance

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横浜出身、オランダ在住のフリーライター&Webディレクター。ジャンルを問わないSEOライティングが得意です。ディレクションはLP・採用サイト・企業サイト・オウンドメディア、何でもやります。お仕事のご依頼は[marikoアット1design.jp]もしくはTwitterへ。[ID mariko_cabin442] 最近、剣道五段に受かりました。旅行と読書と寝ることと、漫画が好きです。細かいことを気にしない性格です。