2020年2月8日(土)、9日(日)にパリで開催された第20回フランスオープン大会に参加してきました。オランダからは20名以上が参加。オランダ人だけではなく、オランダに住んでるモルドバ人や、この大会のためにわざわざ中東からやってきたクウェート人も一緒に団体を組みました。オランダがこの大会に参加するのも9年ぶりらしく、みんなで参加できて非常に思い出深かったです。
この記事では、オランダチームの一員として参加した所感、自分の経験を記録します。
目次
フランスオープン大会とは
ヨーロッパでは毎月各国で様々な試合やセミナーが開催されています。フランスオープン大会(OPEN DE FRANCE)は、その中でも最大規模のオープン大会です。
毎年、1月ごろから登録が始まるのですが、人数に制限があって申し込みできないこともあります。私はオランダに来て今年で3回目の2月を迎えたのですが、1回目と2回目の時は、「登録期限が過ぎてしまった」「定員オーバーだった」などの理由でオランダは参加を見送っていました。
24カ国から選手が参加
フランス近隣諸国だけではなく、韓国や日本からも参加がある点が特徴です。今年は24カ国から参加がありました。
毎年、日本からは慶應義塾大学や国士舘大学の学生さんたちが参加しているようです。日本体育大学の学生さんもいました。
韓国からも多くの選手が参加していました。私、韓国好きなので(ご飯が美味しい)ちょっと話しかけてみました!「韓国の方は、みなさん大学生ですか?」と韓国選手に聞いたところ「大学生もいますし、今大会にはプロも参加していますよ」と教えてもらいました。
土曜日は個人戦、日曜日は団体戦
試合は二日間にわけて行われました。土曜日は個人戦、日曜日は団体戦です。
土曜日の個人戦は、段位によって男女共に三段以下、四段以上にカテゴリ分けされています。さらに高段者の先生の部もありました。ヨーロッパの大会は女子の人口が少ないので男女ミックスで試合をすることが多く、女子オンリーの試合は貴重です。
日曜日の団体戦は、男女混合の三人制でした。日曜日、団体戦最後まで観たかったのですが、大規模な嵐が来ていて帰れなくなる可能性があったので途中で帰りました。
会場のすぐそばに宿泊施設
今回の試合ですごくありがたかったのが、会場のすぐそばに宿泊施設があったことです。多くの選手は、この施設に宿泊していました。
泊まりがけで参加するヨーロッパの大会では、参加者が多過ぎたり、郊外で開催されると宿が全然とれなくて(もしくはすごく高くなる)困ることもあるのですが、今回は大丈夫でした。立派な体育館のそばに宿泊施設もあるなんて、さすがフランスです。
金曜日は、昼頃にアムステルダムを出発したのですが着いたのは21時過ぎ。この宿泊施設の近くに、ピザ屋さんや中華料理屋さんもありました。
1日目も2日目も疲れ果てて、ご飯を食べたらすぐに寝てしまいました。
フロアに板を置いて試合場を設置
試合場は、フロアに板が置かれて作られていました。滑り過ぎない、ちょうどいい床でしたが、アップの時にちょっと継ぎ目が気になったかも…?試合中は気になりませんでした。選手が座るエリアも確保されてます。
ちなみに、オランダは女子が1人三段以下の部で準優勝しているのですが、決勝戦は場外二回の反則負けでした。4月に開催されるヨーロッパ大会は、コートが小さくて9m×9mしかないそう。今からそのサイズで試合練習をしていますが、みんな場外気をつけてほしいです…。
試合運営は非常にスムーズ
20年も歴史のある試合なので、試合運営はすごくスムーズでした。
まず、選手は上記の写真のように垂れのサイドにシールを貼ります。このシールは朝の受付時に渡され、個人戦と団体戦でシールが異なります。
試合者は、上記の写真のように名前と番号が電光掲示板に表示されます。これは決勝なので1組しか表示されていませんが、4試合先まで選手の名前が表示されていました。
アナログ管理だと、選手の呼び出しに手間取ることもありますが、名前と番号が電光掲示板に表示されるのはとてもわかりやすかったです。試合進行もスムーズでした。
竹刀チェック
竹刀の検量のことをヨーロッパでは「竹刀チェック」と言います。多くの大会では重さを測りませんが、今回は重さが測られました。
重さの他には、ささくれ、つるのゆるさ、中結などがチェックされます。
フランスの剣道人口が圧倒的に多い理由とは
2016年の剣道日本の資料によると、2015年時点でフランスの剣道人口は無段者を含めて5,000人を超えます。オランダの有段者の剣道人口が400人、ヨーロッパ全体の有段者の人口が1万人なので、これらの数字と比較してフランスの剣道人口の多さをご理解いただけるかと思います。
フランス剣道連盟は柔道連盟と一緒になっているので、柔道が盛んなフランスに於いて知名度が高くなるのかもしれません。また、日本文化に対する理解も深いです。
フランスには八段の先生もいらっしゃって、渡仏なさってから50年近くフランスにおける剣道の普及にご尽力なさっているそうです。小説家として書籍も出版していたり、貿易会社も興しているとwikipediaに書いてありました。また、定期的に全剣連から先生が派遣されているそうです。
フランスはジュニアも強くて、ベルギーやドイツで開催される試合ではいつも大活躍しています。今回のフランスオープン剣道大会にも、ジュニアの子達がお手伝いと応援に来ていました。時計係りとか頑張ってて可愛かったです。
小さい頃から剣道を続けていて、人口も多いのでモチベーションも保ちやすいのかもしれません。他国では、「仲間が途中で辞めてしまう」「試合数が少ない」などを課題としてよく耳にします。
剣道人口が少なくても…
しかし、剣道人口が少なくても熱心に剣道を続けている国の選手もいます。今回、クウェートからただ1人参加した選手は、本大会のためにわざわざ数日前からオランダに滞在して稽古し、車を借りて私たちと一緒にパリに来ました。
クウェートはまだ剣道人口が少なくて、彼が指導者をしているそうです。段位は三段で「周りに自分より強い人がいないから、オランダに移住したいんだ」と言っていました。モルドバから来ている男性も同じで、彼は実際にオランダに住んで稽古をしています。
2人とも、個性的で面白いです。こういう人たちとの出会いがあるのは、海外で剣道をやる醍醐味の一つだと思います。
まとめ
今回、参加の直前に腎盂腎炎にかかって、試合数日前に点滴を打って熱を下げたので、色々準備不足での参加になってしまいました。もう少し聞き込みをしたかったのですが、ストームが来たのもあって時間も充分に取れませんでした。
でも、フランスの方とお話しできたのは大きな収穫でした。オランダからも比較的近いので、これからも出稽古したり試合に参加して、フランスの方に色々教えていただけたらなと思っています。