剣道具通販のBUSHIZO(ブシゾー)がオリジナル小手の開発をしました。これまでは、様々な防具屋さんの商品を比較・検討することが主なサービスだったBUSHIZO(ブシゾー)。
これからはオリジナル防具の開発にもチャレンジしていきたいそう。オリジナル小手の特徴や、なぜオリジナル商品を作ろうと思ったのかについてお話を聞いてみました!
ARM(アーム)とは?
熟練の職人さんが在籍する工場のご協力を得て製作した、BUSHIZOオリジナル小手ARM(アーム)。どんな特徴を持つ小手なのでしょう。
握りやすさと安全性を追求
一番の特徴はなんですか?
工藤・上島:ものすごく握りやすいです。
上島:
小手職人の方が一から型をおこしています。
写真をご覧になるとわかりますが、手を開いた状態でL字になっており、実際に竹刀を握ってみると、すごく握りやすいんです。竹刀を握ると、自然な形で構えることができます。メーカーのご担当者様も剣道経験者で七段の段位をお持ちです。相談しながら使いやすい型をおこしました。
工藤:小手頭もしっかり芯材を詰めているためクッション性があり、安全性が高いです。
最近、軽量化された小手を使ったことで骨折してしまったという話もよく聞きます。軽量化も大切ですが、まずは安全性をきちんと確保し、ご利用いただきたいという想いがあります。
国産、東レの素材を使用。しかも洗える!
工藤:もう一つの特徴に、信用できる素材を使っている点が挙げられます。具体的には、日本企業の東レさんの素材を使用してます。
小手の外側部分には、東レのテトニット素材、内側が同じく東レのシルリードを使用。また手の内はウルトラスエードを使用しています。
テトニット・シルリード共に、海外製の似たような素材を使っている剣道具はありますが、東レの物は段違いに良いです。
ジャージ素材で、洗濯もできますし、乾くのが抜群に速い点も魅力かと。素手に近いグリップ感で握りやすく、さらに痛くない小手です。
価格は1万8,000円、確かな技術をもつ職人さんが製作
上島:小手の相場に合わせると1万円前後の価格が理想なのですが、良いもの作ろうとすると、これくらいかかってしまいます。安いものを求めすぎると、手間暇かけて良いものを作ろうとする方々が報われません。
素晴らしい技術を持つ職人さんが絶滅してしまったら、もう取り戻すことはできません。価格競争が原因で廃業してしまうケースもあるので、本当に良いものを適正価格で売りたいと思っています。
もちろん、お客様にとってもお求めやすい価格にしたいですね。
ーどんな人が作ってるんですか?
工藤:フィリピンにある眞仁工場で生産をしています。こちらの工場は、数年前から栄光武道具さんが運営されている、品質に定評がある工場です。高品質なものづくりをすることに重きを置き、確かな技術を持つ数十年のベテランのフィリピン人の職人さんたちが作っています。眞仁工場の創業者は日本で防具制作のイロハを学び、日本の伝統技術を忠実に体現されてます。
ファッション性も特徴
ーデザインにもこだわりがありますか?
上島:剣道には、あまりスポーティな感じのイメージなかったから、デザインにもこだわりを持って作ってみたかったですね。
工藤:スポーティなファッション性も楽しんでもらいたいです。
上島:若い世代の方でも楽しめるデザインを作りたかったです。
工藤:“手刺”や“鹿皮素材使用”などの“カッコ良さ”とは違ったものがあってもいいのかなと。重厚な防具は若い人にとっては、お金がかかってしまうので、もっとカジュアルに剣道を楽しんでほしいという気持ちがありました。
ーランニングとか、ヨガもスポーツウェアは可愛くてカジュアルになってますよね。
工藤:防具袋も昔、かなり渋いデザインが多かったと思うんです。でも、松勘工業さんの冠ウイニングバックパック防具袋などがきっかけでスポーティで機能的な防具袋が増えました。
上島:防具の世界にもそういうのがあっていいかなって思ってます。
自社商品を持つことで、剣道業界に貢献したい
ーどうして自社商品を開発しようと思ったんですか?
工藤:これまでは「メーカーから仕入れて販売する」スタイルが中心でした。
しかし、オリジナルの商品を持つことで、自分たちがこだわった商品を持てます。自社商品の企画・販売を通じて剣道界に貢献をしたいという思いがありました。
上島:「企業としてオリジナルの商品があると、企業が成長していくよ」と、他の防具メーカー様からアドバイスをいただいたということもあります。認知度を上げるきっかけにもなるかなと。
ーアドバイスをいただくなど、防具屋さんとのご関係がいいんですね。
工藤:自分たちのWebサイトでメーカーさんのご紹介もさせていただいているからかもしれません。BUSHIZOにご掲載いただくことでマーケティング支援も行いたいという想いがあります。嬉しいことに、「BUSHIZOに掲載すると売れる」といった声も多くいただいております。
「なぜこの価格なのか」をきちんと伝えたい
ーBUSHIZOではメーカーの方々のインタビューを多数掲載していますよね。
上島:防具に関わる会社は、メーカーと小売があります。メーカーさんの多くは表に出ないため、知らない方も多いのではないでしょうか。BUSHIZOを通して、作り手の方がどんな想いで防具を作っているのか伝えたいという意図があります。
上島:最近は、防具がとても手に取りやすい価格になりました。剣道への敷居が下がっていて良い面もあります。しかし、その影響で良いものを作る職人さんが損をするようなことにはしたくないと思っています。
例えば、良いものを作ろうとしても「この価格じゃ売れないよ」となると、質が低いものを大量に生産してしまうことに繋がるかもしれません。質が高いものにはきちんとした理由があります。BUSHIZOのサイトを通して、メーカーさんや職人さんのことをきちんとお伝えしていきたいです。
BUSHIZO利用者からの質問コーナー
ここからは、BUSHIZO利用者の方から届いた質問にお答えいただくコーナーです。
1. 防具を作るにあたって愛着は湧きますか?(高校生男子)
工藤:自分の子供のように愛着は湧きますね。使っていただく方のことを考えて商品企画をしたので、ぼくたちの気持ちが伝わって、気に入っていただきたいと思っています。
愛情を持って世の中に出していくので、ぜひ買ってください!
2. なぜ剣道の分野で起業しようと思いましたか?(会社員男性)
上島:ぼくは「起業したい」という気持ちがずっとあって、何の分野で起業すべきかを考えていました。海外の情報も勉強して色々考えていましたが、興味を持ってずっと続けられるかが不安で。「モチベーションを高く持てる、好きなことって何だろう」そう考えたときに、ずっと続けてきた剣道が思い浮かびました。
自分がこれまで積んで来たWebマーケティングの知識や経験を活かすと、剣道業界になかった新しいことができるんじゃないかなと思い、今の業態に行きつきました。
あとは、「ありがとう」って直接言ってくれる人が周りに多いこともあります。自分から遠い業界の人が喜んでくれても実感がなくて…。喜んでもらえるイメージが湧いたんです。
工藤:ぼくの前職はYahoo!の広告営業でした。事業主さんや広告主さんに「マーケティング支援」をしてたから、直接エンドユーザーに会う機会がありません。自分のサービスやプロダクトを運営してる気持ちになれず、虚無感みたいなのがあったんですよね。どこまで行っても本気になれない自分がいました。だから、「自分のサービスや会社にどっぷり使って仕事したい」という気持ちがありました。
僕は起業が目的じゃなくて、手段かもしれません。BUSHIZOをやることが目的で、起業は手段です。
3.始めてみてから分かった苦労の一つをお聞かせください。 (会社員男性)
上島:最初の頃、売れない時期があって、その時は苦しかったですね。
工藤:何が原因で売れてないのかが分からないのがきつかったです。雲を掴むように「これが原因で売れてないんじゃない?」って。
上島:一個一個、バケツの穴を防いでいきました。多分、毎週何100個単位で。他のサイトを研究したり、アパレルサイトも研究しました。それにお客様が応えてくださって売れるようになって来ました。
4. 剣道具の作り手さんが、剣道を盛り上げる点で危惧されていることは何ですか? (会社員男性)
上島:どこに行っても言われるのは、剣道人口が減っていることです。どうやったら増やせるか、どうやったら一度剣道から離れた方がもどってきてくれるか。
工藤:少子化で子供自体も減ってきているから……。
ー二人は定期的に稽古会もやってますよね
上島:いきなり道場に行くのはハードルが高いと思いますので、大人にも子供にも、ぼくたちの稽古会を気軽に使っていただきたいと思っています。
工藤:BUSHIZO稽古会は「所属」という概念がありません。その点がいいのかなと。
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新商品の話から、質問コーナーまで色々お話をお聞かせいただきありがとうございました!
ARM小手は、まもなく発売開始とのことです。