2023年9月30日、10月1日の両日に、フランスのパリでWomen Aki Taikai が開催されます。
ヨーロッパ在住の16人の七段の女性剣士によるセミナーの後、段別の試合が行われます。約160人の女性が参加する予定で、ヨーロッパにおける女性主導の大会としては過去最大規模。七段女子の個人戦は国際的に他に例がないようです。
『‘Carving Out Their Own Space: The Women Aki Taikai Revolutionising Women’s Kendo’ by Kate Sylvester. 』によると、大会が企画された背景には、フランス最大のオープン剣道大会に、男性の七段カテゴリの試合があるにもかかわらず、女性のカテゴリがないことがあるようです。現在ヨーロッパには21人の女子七段が剣士がいることを考えると、男女平等の観点からこれは不平等だ、という指摘があり、一時期ソーシャルメディア上でその話が出ていたことを私も記憶しています。
剣道の男女比を考えると女子が圧倒的に少ないから、仕方ないことなのではと心のどこかで思っていて、私は女子のカテゴリがないことに疑問すら抱きませんでした…。
また、今年のヨーロッパ大会の取材時にもハッとした指摘があったのですが、
- なぜいつも男子の試合にばかり注目が集まるのか(女子の試合から始めてもいいのでは?)
- 取材に男女で偏りがあるのではないか?
といったご意見を目にしました。今回のヨーロッパ大会は、私一人で写真も記事も動画も撮っていたので、男女の偏りどころか国にも偏りがありそうだったのでもはや何も言えないのですが…。私の性別は「女」なので、女のことは自分はよくわかっている、とどこかで思っていたのですが、無意識で何かしらのバイアスがかかっていたのかもなぁなんて反省しました。
ヨーロッパの女性剣士たちは、日本人の女性剣士とはやっぱりちょっと違うと感じることが多々あります。例えば、二年ほど前には、『Fine Ladies Kendo』で「剣道において差別や偏見を経験したり目撃したことはありますか?」というアンケートが実施され、約80%の人がYesと回答していました。私は、これは本当に素晴らしいアンケートだと思います。周りが男性だらけだと、声もあげにくいし相談もしにくいでしょう。そもそも問題として認識すらされていない気がします。数字としてこのアンケートが出たことは、とても意義があると感じます。
Kateさんの記事では、剣道における女性のプレゼンスの向上は、学びや技術向上につながると記載されていましたが、私は差別や偏見の撲滅含め、あらゆる側面に良い影響を与えると思います。
何よりこういった大会は、イベントとしての楽しさも大きいでしょう。試合の組み合わせ表を見たのですが、大好きな七段の先生たちが試合をするので、どんな試合になるのだろうと今から楽しみです。