世界90カ国にサービス展開をするWunderman Thompson(ワンダーマントンプソン)が毎年出す『The Future 100』というレポートがあります。
その年に予測する未来のトレンド100をレポートしたもので、文化・テクノロジー・旅・健康・働き方・美容など10のカテゴリにわかれています。
ザーッと読んでみたのですが、キーワードの中にinclusive(インクルーシブ)とか、多様性って言葉が多く入っていて、企業活動としても社会としても、多様性を認めてインクルーシブであることは必須の傾向なんだなと改めて感じました。
最近、この「多様性」について考えるところがあったのでちょっと書いてみようと思います。
「生涯剣道」という言葉に代表されるように、剣道は幼稚園児から高齢者までさまざまな年齢、性別の人が関わります。世界剣道も盛り上がっているので、国籍や人種もさまざまで多様というに相応しいと思います。
でもそのなかでEquity(公平性)が担保されているかというと、そうでもないのかなと感じることがあります。
Fine Ladies Kendo Worldwideが以前、「剣道の環境で差別・偏見を経験したり目撃したことがありますか?」というアンケートを実施していたのですが、約80%の人がYes(目撃したことがある)と回答していました。
アンケートの回答者の属性や人数は見当たりませんが、この質問をすること自体が素晴らしいと私は感じます。女性に対するセクハラなんかは、かなりスポットが当たりづらいと思うんですよね。
成人女性に対してもそうですが、セクハラされる対象が未成年の子どもだった場合は、誰に相談したらいいかもわからないし、その当時はもやもやとした気持ちで終わっていたとしても、年を重ねてから深刻なトラウマになる可能性もあります。だからハラスメント対策って、本当は細かくNG事例なども出しながら啓蒙していくべきことなのかなと思います。
常々こういうことを考えたりもしていたし、私自身の性別が「女」なので、割と女性目線で物を見れていると思ってたのですが、今年のヨーロッパ大会の取材に対して、「女性に対するフォーカスが少なすぎる」とヨーロッパの方に指摘していただき、私も知らず知らずのうちにバイアスかかっていたのかもと反省しました。
「なぜいつも男性から試合がスタートするのか」「女性のプレゼンスを高めるために、女性から始めてもいいのではないか」という意見もあって、なるほどと思いました。人数の差があるから、男性の方がフォーカスされるのは仕方ないかなと心のどこかで思っていました。こうやってはっきり言ってくれるところは、ヨーロッパの人たちの素敵なところだと思います。
もう一つ、ヨーロッパで剣道してていいなぁと思ったのは、パートナーが同性だとしても周りが割と自然に受け入れているところです。「今度僕のボーイフレンドを連れてくるよ」とか「彼女のガールフレンドは別の国にいるのよ」みたいな会話をよく聞きます。個人的に、同性を好きでもなんでも、そのこと自体を特別視するのが好きではありません。こうやって会話が自然に行われているところが心地よいなと感じます。
剣道は多様であるからこそ、Equity(公平性)がより意識された世界であってほしいと切に願います。