8月7日(月)に横浜を出発して菊池に前泊し、8月8日(火)朝に菊池女子高等学校 剣道部の稽古に参加させていただきました。
菊池女子の剣道部は緒方有希先生が創部し、これまでに数々の輝かしいご実績を残されてきました。緒方先生ご自身も、過去に日本一、世界一になられています。
先生はヨーロッパ剣士たちとの繋がりも深く、今回はフランス剣道代表のナカバヤシ選手、そのパートナーで元ポーランド代表のアガ選手が来校されると聞いたので、その場に参加させてもらいました。
「海外の剣道はどのように発展してきて、これからどんな道を辿るのだろう」という疑問がわたしのなかにずっとあります。今まで、本当にたくさんの方が発展に尽力されてきましたが、今回の稽古を通して、その答えの一つを見ることができたように感じます。
ナカバヤシ選手たちは夏の休暇を利用して、防具を持って日本にやってきました。菊池には約1週間滞在し、その前には熊本の他の道場で八段の先生に稽古をつけてもらったそうです。フランスは夏でも20度以下の日が多いので、蒸し暑い日本での稽古は本当に大変だと思います。
「やっぱり日本の先生との稽古は全然違う」とナカバヤシさんは言ってて、少しでも剣道を学ぼうと思ってここまで来ているんだなと…。パートナーのアガさんも、菊池女子さんでの稽古を「多くのインスピレーションを与えてくれるものだった」と言っていました。二人ともまだ若いけど、それぞれフランスとポーランドの道場主でもあります。ここで学んだことを大切に持ち帰って、自分たちの国の剣道に還元するんだと思います。
稽古にはYouTuberの梶谷さんも参加していました。ナカバヤシさんの稽古ペアにと呼ばれたそうで、そこに便乗して私も一緒に稽古してしまったのですが、菊池女子の皆さんには気を遣っていただいて稽古全力でできなかったと思います。それでも、嫌な顔一つせずに迎えてくださいました。本当にすみませんと思いながら参加したのですが、ライターの私が実際に参加することでヨーロッパに伝えられることの質が高まるのではと思って、参加させていただきました。少年剣道にも関わっているので、そこにも少しでも還元したいという気持ちもありました。菊池女子の皆さんは、インターハイの翌日でお疲れだったと思います。そんな中、本当に感謝しています。
緒方先生は、途中で「コーイチの剣道講座をやろう!」とナカバヤシ選手が高校生たちに剣道を教える、という粋な計らいをしてくださいました。日本の強豪校に欧州の選手が何かレッスンをする機会というのは、私が知る限りでは聞いたことがありません。ナカバヤシ選手も最初は照れていたのですが、教えることに集中し始めると色々なことを話してくれました。さすがずっとフランス代表として活躍し、欧州ナンバーワンで、道場を動かしている方です。
一番最初に彼が触れたことは礼法でした。日本からフランスに渡った剣道が、日本に戻ってきた時に、一番最初にくるのは礼法なんだ…と。「剣道はやっぱり礼法だ」って感じ入りました。だって、外の世界に出て、認められて、戻ってきたものが礼法なら、それは国を超えて通じる普遍的なものですよね。
個人的には、ずっとここ数年はオランダで稽古してきたので、欧州NO.1のフランスのナカバヤシさんの稽古を受けられてすごく嬉しかったです。オランダのみんなにも受けさせてあげたいな…なんて思いながら稽古しました。
さらに、ナカバヤシさんの稽古を緒方先生が補足してくださって、その講義もすごく有意義でした。今振り返りながらすごく贅沢な場所に身を置けたなと思ってます。
緒方先生は、選手として日本一にも世界一になって、しかも指導者としても輝かしい実績を残されています。でも、えらぶることが一切なく、どんな人にもリスペクトを持って接してくださって、さらに「この人のここから学ぼう!」と若い人たちに視点を示してくださっています。
海外剣士たちの純粋な気持ちがあって、そして緒方先生のような方がその気持ちに応えようと素晴らしい教えを返してくださることで海外剣道は発展してきたし、これからも明るい未来を進んでいくんだろうなと感じた日でした。