ストーリーへの共感と消費

ぼくらの仮説が世界をつくる」を読了しました。「宇宙兄弟」「ドラゴン桜」などの大ヒット漫画を育てた著者の佐渡島さんが、編集者・経営者として考えてきたことをまとめた一冊です。書籍の冒頭に「世界は、誰かが思い描いた「仮説」でできています」とあるように、仮説に対する考え方や、作家さんに対する想い、これまでの業界を自分たちは変えていくんだ、という強い想いが伝わってきます。テンポよく、情熱的で、あっと言う間に読み終えてしまいました。

仮説の立て方や常識にとらわれない思考、インターネット時代の編集のありかたや、起業家としてのマインドなど、色々なテーマがあって、どれもとても興味深いのですが、その中でも「ストーリーに共感するから、モノがほしい」というインターネット時代の消費について書きたいと思います。

質・安さを求める消費からストーリーに共感する消費へ

本書の第二章には、「モノと質とデザインと安さ」を兼ね揃えた商品が求められるこれまでの消費と、「背景にあるストーリーに共感するからモノが欲しい」という2010年代の消費について描かれています。これは本当にその通りで、楽天に在籍していた際にケーススタディとしてよく社内でも紹介されていました。私は決済の部署にいたため、実際に楽天市場に出店する店舗の方々とお話する機会は少なかったのですが、楽天大学学長の仲山進也さんの「あの会社はなぜ「違い」を生み出し続けられるのか」では、「手元に届かない花火、2000万円分が5日で完売した理由」「7000個のベーグルが3日間で完売」など、面白い事例が数多く紹介されています。

個人的にも、今年は特に誰かの話に共感してサービスを購入したことが多かったように感じます。「これ良いんですよ」というご近所同士での口コミ購入が、インターネットによってさらに促進されているという印象です。

たくさんのストーリーが込められたベトナムのアクセサリー

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ベトナム中部、フエの女性たちの自立支援を行うために生まれたエシカル・ファッションアクセサリーブランド Phuhiep(フーヒップ)

先日、Phuhiep(フーヒップ)というベトナム女性の自立支援を行うために生まれたブランドのアクセサリーを購入しました。商品自体もとても可愛くて大好きなのですが、創業者の方の志や、商品・関わる人を大切にしていこうという想いは本当にすごいなぁと思います。ピアスを一つ買っただけですが、Phuhiepのブランドストーリーが説明されたベトナムのポストカードとメッセージも丁寧に同封されて、本当に事業と商品を大切にしているんだなと感じました。リアルでの買い物でも、オンラインの買い物でも、本当にたくさんのアクセサリーがありますが、何かストーリーが込められたもののほうが私は欲しいと感じますし、大切にできるのではと思います。

誰かの想いを皆で叶える、クラウドファンディング

インターネットに助けを求める子どもを安全に支援団体と繋ぎたい
クラウドファンディングも、ここ数年で広まった新しいサービス(消費)のスタイルです。今まで、存在は知っていても参加したことがなかったのですが、今年は「11民族が暮らすバングラデシュの村で子どもたちと映画を作りたい」と「インターネットに助けを求める子どもを安全に支援団体と繋ぎたい」の2つのプロジェクトを応援しました。どちらも「こども」や「教育」に関わることなのですが、強い志があって、応援しようという気持ちになります。前者のプロジェクトは無事、目標金額を達成し、後者のプロジェクトはまだ募集期間中ですので、興味のある方は是非ページを読んでみてください。

漫画から生まれたアクセサリー

ぼくらの仮説が世界をつくる」でも紹介されていた宇宙兄弟のキャラクター北村絵名のヘアピンもストーリーを持つアクセサリーです。作中で、絵名が宇宙に飛び立つ前に彼女の妹がプレゼントしたというもので、「これをつけると気持ちがピシっとする」という漫画のセリフを台紙の中にも添えてあります。

宇宙兄弟の作者・小山宙哉さんの公式サイトでは、他にも「はやぶさのピアス」や限定のフィギアなど、他のアーティストとコラボした商品が、作り手の想いとともに紹介されています。私はヘアピンもピアスも買ってしまいました。

これからの世界への仮説

良い仮説を立てるためには本質を見極め常識を打ち破る視点が必要です。本書ではそれを「宇宙人視点」と呼び、「宇宙人だったらどう考えるだろう?」ということを書いています。「何が変わっているか」をきちんと見極めるのと同時に、「なにが変わらないのか」を把握しておくことも大切、という言葉も印象的でした。また「先に情報を仕入れてから仮説を立てても、前例を元に立てられたものなので前例以上のものはできない。だから、仮説を立ててから情報を仕入れる」という点はなるほどと思い、とても共感できました。佐渡島さんや、本書で紹介されている起業家の方々のような大胆な仮説は立てられないのですが、もっと世界のインフラが整えば、Phuhiep(フーヒップ)のように、生まれた環境が貧しくても先進国と仕事ができて生活や教育の質が向上していくのではと思います。また、近い未来で働き方がもっと柔軟になり、会社に所属せずにプロジェクト単位で仕事をしていく人も増えていくのではないでしょうか。仮説というよりは、こうなったらいいなという個人的な希望に近いところもありますが…。元々のテーマから広がってしまったかもしれませんが、新しい知見が広がるだけではなく、色々なことを考えるきっかけにもなる一冊だと思います。

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横浜出身、オランダ在住のフリーライター&Webディレクター。ジャンルを問わないSEOライティングが得意です。ディレクションはLP・採用サイト・企業サイト・オウンドメディア、何でもやります。お仕事のご依頼は[marikoアット1design.jp]もしくはTwitterへ。[ID mariko_cabin442] 最近、剣道五段に受かりました。旅行と読書と寝ることと、漫画が好きです。細かいことを気にしない性格です。