剣道を英語で説明する時によく使う英単語10選


8月2日(金)から4日(日)までオランダ・アムステルダムにて剣道サマーセミナーが開催されました。毎年、筑波大学の鍋山先生がいらっしゃるのですが、今年はご都合が合わなかったらしく、川上有光先生、坂本崇先生、村上雷多先生、神田智浩先生、進藤暖佳先生がいらっしゃいました。
参加者は10カ国から約130名、今年は世界大会開催の年ではないので昨年に比べると減少したものの、級・無段から七段まで幅広い段位・国籍・年齢の方々が参加しました。

今年は『剣道時代』のプレスとして参加してセミナーレポート作成と動画撮影を予定していたのですが、急遽、通訳不足で駆り出されることになりました。当日に駆り出されるとかあるの?!と驚きましたが、ヨーロッパ在住歴が長い方に温かい笑顔で「よくある…よくあるよ…」と言われたので、よくあることなんだと思います。

私なんかが通訳して大丈夫だろうかと申し訳ない気持ちでいっぱいになりましたが、少しでも役に立てていたら嬉しいです。
また、やはり英語を実際に使うことは勉強になります。記録も兼ねて、今回のセミナーで剣道を英語で説明する際、役立ったことをまとめます。通訳歴の長い他のオランダ人などにも聞きながらまとめましたが、もし「この表現 / 説明の方がしっくりくる!」などご意見ありましたらぜひ教えていただけますと幸いです。

ちなみに、未経験者向けの英語の説明は『海外で剣道未経験者に剣道を英語で説明するには』にまとめました。

剣道でよく使う英単語①相手 opponent

opponent [əpóunənt / オポーネント]には、「対戦[競争]相手、対抗者、敵、反対者」などの意味があり、例えば稽古の時にペアを組んだ相手や試合の対戦相手をopponentと表現します。

剣道でよく使う英単語②打つ hit / strike

面を打つ、小手を打つ、など「打つ」を表現するときはhit [hít / ヒットゥ]とstrike [stráik / ストゥライク]を使います。今回のセミナーで初めて知ったのですが、hitは実際に打つ(打突部位を叩く)、strikeは振りのみ、といったニュアンスがあるようです。

剣道でよく使う英単語③ 手の内 grip

手の内や握りを表現する時は、grip [gríp / グリップ]を使います。
手の内に関しては、全日本剣道連盟から販売されている『剣道和英辞典』によると下記のように定義されていました。ちなみにこの辞書めっちゃ便利なのでおすすめです!

手の内
竹刀の握り方、打突したり応じたりするときの両手の力の入れ方、ゆるめ方、釣り合いなどを総合したもの。

tenouchi
The overall use of the hands when striking or responding, including the way of gripping the shinai, the tightening or loosening of the grip, and adjusting the balance between the two hands.

でも、何年も続けている人の場合はtenouchiと言っても通じます。細かく説明しないといけないのは初心者の方に対してなのですが、今回みたいに日本からプロの先生がいらして剣道を見せてくださって、「あれがgood tenouchiだよ」と実際に見せて納得してもらうという方法もあります。実際に、今回のセミナーの先生方のご指導への感想にはbeautiful kendo とか amazing kendoとか書いてあったので圧倒的な見本を見て言葉をそのまま日本語で覚えてもらうというのがいい気がします…!言葉の補足があるとなお良いけど。

剣道でよく使う英単語④ 力を抜いて relax

簡単な単語なのですがrelax [rilǽks / リラックス]もよく使います。日本人もですが、真面目で、頑張りすぎて肩に力が入っちゃう人ってけっこう多いのではないでしょうか。
そういう時はリラックスしよ!ってめっちゃ使います。この英語であっているかわからないのですが、You put too much power on your arms/shoulder.(肩に/腕に力が入りすぎてるよー!)とかよく言います。

剣道でよく使う英単語⑤ 捨て身 commit

「捨て身」って概念は、ヨーロッパにそもそもあるのでしょうか?日本でも、日常的にはあんまり使わないですね。
以前、カナダの友人に教えていただいたのですが、「捨て身」「うち切る」はcommit to the strikeと表現するそうです。commit [kəmít / コミットゥ]には、「忠実性」「全てを捧げる」「迷わない」という意味が含まれるらしく、「剣道の捨て身にはぴったり」とのことです。

仕事で「このプロジェクトにコミットして」などIT業界だと横文字言葉として使われることがありますが、捧げるっていう意味なんですね。捧げる気持ちで仕事にコミットしたことがなかったので反省しました。

剣道でよく使う英単語⑥ さそいだす invite

相手を誘い出す、という時はinvite opponentと言います。これはオランダの代表チームトレでよく監督が使ってて、「invite」って言うんだ〜と思いながら説明を聞いてました。invite [inváit / インヴァイトゥ]って遊びの誘いとかパーティの誘いとかで使う言葉ですが剣道でもinviteなんですね。

さらに、「攻める」という意味でput pressure on the opponentと言ったりします。

剣道でよく使う英単語⑦ 間を詰める enter the distance

「間を詰める」はenter the distance。「自分の間合いを見つける」と説明する時は、find your own maai.とかでも通じます。
どの間合いからだったら打てるか、と説明する時などに、maaiとかdistanceがよく使われています。

剣道でよく使う英単語⑧ 打ち切る follow thrhough

捨て身のcommitとも似ているのですが、「一本打ち切る」と表現する時は、finish、follow thrhough、execute [éksəkjùːt / エクセキュートゥ]を使います。オランダ人の友達には「zanshinでもいいかも」と言われたのですが、残心までしっかり打つということだと思います。

剣道でよく使う英単語⑨ 縁を切らない don’t lose contact

今回のセミナーで初めて使ったのが「縁を切らない」という説明でした。文脈にもよると思うのですが、keep concentration [kɑ̀nsəntréiʃən / コンセントゥレイション]で最初訳してて、他の通訳にも意見を聞いて「Don’t lose contact.」がわかりやすいんじゃないか、という話になりました。

剣道でよく使う英単語⑩ 冴え sharpness

最後は「冴え」。冴えは、そのままsaeって使われることも多々あるのですが、sharpness [ʃɑ́ːrpnəs / シャープネス]とみんな言ってます。鋭い打ちっていうニュアンスですね。

そのままで通じる言葉

ちなみに、段位や経験年数にもよるのですが、細かく説明しなくても下記の単語は日本語でわかってもらえます。

  • 体操 taiso
  • 集合 shugo
  • 整列 seiretsu
  • 交代 kotai
  • 深呼吸 shinkokyu
  • 手の内 tenouchi
  • 気合い kiai
  • 残心 zanshin
  • 冴え sae
  • 攻め seme
  • 溜め tame

オランダももう何十年も剣道の歴史があって、15年20年剣道続けている人もたくさんいます。なので、素振りの数も日本語で数えてます。全然関係ないのですが、最近オランダで「ikigai」って本が発売されたりしてるんですけど、そのうち「kiai」とか「sutemi」とか出版されてもいいと思うんですよね。

まとめ

以上が、よく使う英単語のまとめでした。普段の稽古だと使う単語はだいたい決まってて、雰囲気で日本語で押し切っちゃうときもあるのですが、今回のように先生方が日本から来てくださって、細かくご説明いただく機会があった際は、やはり事前に打ち合わせをして、正確に訳すことが重要だと感じました。全剣連からも英語訳された書籍が出版されているので、活用しながら次はもう少しいい通訳ができたらと思います。


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横浜出身、オランダ在住のフリーライター&Webディレクター。ジャンルを問わないSEOライティングが得意です。ディレクションはLP・採用サイト・企業サイト・オウンドメディア、何でもやります。お仕事のご依頼は[marikoアット1design.jp]もしくはTwitterへ。[ID mariko_cabin442] 最近、剣道五段に受かりました。旅行と読書と寝ることと、漫画が好きです。細かいことを気にしない性格です。