今年の夏は、ヨーロッパの剣友たちが日本に剣道旅行に来ています。
2ヶ月ほど前に、イギリスの若者たちが、ある大学の剣道部に言ってみたい!と話していたのを聞きつけました。以前サマーセミナーで知り合った先生がお勤めの大学だったので、ご紹介いただき、彼らと一緒に稽古に参加させていただくことにしました。
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朝6時20分に家を出て、電車とバスに揺られて大学に到着。イギリス人の二人は先に到着していました。いつもヨーロッパで顔を合わせる人たちと日本で会うのは、なんだか不思議な感じです。
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先生と合流し、道場へ。大学の先生方にご挨拶をして着替え、準備運動から参加させていただきました。側にずっとついて説明してくださった大学院生の方がいて心強かったです。稽古終了後に「あの大学院生の人は、現役の時に副将で出てた人だよ!とっても強い人だよ」とイギリス人の子が教えてくれました。私より詳しい。
関東学生の直前だったので、女子の選手の皆さんのアップや試合を見学しました。私、間近で日本の体育会剣道部の方々の稽古を見るのって初めてだったのですが、美しいし、強いし、見惚れてしまうような素晴らしい剣道でした。
地稽古が始まってからは、先生方の列に並ぶのに「こちらへどうぞ」と丁寧に案内して、列も譲ってくださいました。稽古後、更衣室で着替えていたら「シャワーもタオルも使ってくださいね」とわざわざバスタオルまで持ってきてくださいました。強い上に優しいなんて完璧じゃないですか?もうすっかりその剣道部の女子の選手の方々のファンになってしまいました!
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稽古後に、先生にご挨拶するために列に並んでいたところ、イギリス人の男の子が「伝わってないかもしれないけど、今日ここに来れて本当に嬉しいんだ」と言っていました。彼は、二日目の稽古後の挨拶時に「この大学に稽古にくることが、ずっと夢でした。この二日間は、僕にとって大切な経験になりました」と言っていました。
稽古が終わって帰り道では、早速あーだこーだと稽古の反省を話し出していたので、本当にこの子たちは剣道が好きで、この大学に来れて嬉しかったんだろうなぁと感じました。
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大学の体育会で、日々大会に向けて稽古に励んでいる方々は、想像もしないと思うのですが、YouTubeにアップされている大学生の皆さんの試合や稽古動画を、ヨーロッパの若い選手たちは見て、真似して、議論して、ある人は「いつかこの大学で稽古してみたいなぁ」と思いを馳せています。
今日、出稽古を受け入れて一緒に稽古してくださったことで、二人の夢を叶えたんだよ!って伝わったかな…。いますぐは伝わらなくても、この感謝の気持ちが届いたらいいなと思っています。
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私は大学時代は同好会で剣道をしていたし、剣道のセンスもないので、日本にいた頃は体育会の方々とは無縁でした。明治大学の後輩で、体育会剣道部出身の男の子に「よくそんなメチャクチャな剣道で今までやってこれましたね」と言われたこともあり(ひどくない?私一応年上なんだけど😇)、なんとなく体育会の人たちってこわいかも…という先入観を持っていました。
だから、イギリス人の二人が「稽古に行きたい!」と言わなければ、大学の体育会で剣道をするチャンスなんて訪れなかったと思います。「まり子さん、つないでくれてありがとう」って言ってくれたけど、感謝したいのは私の方です。
そして、あたたかく受け入れてくださった先生方、学生の皆様にもとても感謝しています。このご恩を、何らかの形で返して行けたらいいなぁと思った二日間でした。