子どものために、剣道をやりすぎない指導者たち


オランダの面積は九州ほどで、人口は東京と同じくらいと言われています。登録されている有段者数は約400名で15道場が活動。子どものクラスを持つ道場は少ないです。

そのような状況のなか、何年か前に「オランダの少年剣道をもっと盛り上げよう!」と、子どもクラスを持つ道場が集まって、合宿を企画しました。子どもの数が絶対的に少ないので、道場同士が協力することで子どもたちの交流を深めよう、という取り組みです。

合宿を企画するにあたり、事前にzoom ミーティングを行ったのですが、その時にある道場の先生が言った言葉が印象的でした。

子どもに剣道をやらせすぎないように気をつけよう

こんな言葉は、日本人からはほぼ出てこないと思うので、衝撃でした。

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オランダでは、体育の授業の時に外部から大人がやってきて、スポーツを教えてくれるそうです。オランダのある剣道道場の先生も、役所かどこかに掛け合って地元の小学校に剣道を教えに行ったことがあると言っていました。

色々な運動を体験することで、自分に合った競技を見つけることが目的のようです。私は、これって素晴らしいことだと思います。

年を重ねるにつれ、運動の習慣があるかないかって、大きな分かれ道になるような気がしています。健康に日々を過ごすために、自分にあった運動を持っているかいないかで、日々の習慣は変わってきます。

私の勝手な憶測なのですが、順位を争うよりも「スポーツは人生を豊かにするためのもの」という意識が強いのかもしれません。

そういう背景があるとこの「やらせすぎないようにしよう」という言葉も理解できます。子どもが望んでやりたいのであれば、やらせる。でも、親や先生の意向でやらせすぎるような事はあってはならない。剣道は彼らの人生の一部であって全部じゃない。子どもたちが良い友達を作って、楽しむことの方が大切、と彼らは考えているようです。

そうして企画された合宿は遊びが八割でした(笑)子どもも大人も本気で遊んだのでめちゃくちゃ楽しかったのですが、剣道の側面はちょっと物足りなかったです。

でも、そういった状況でも剣道を続ける子どもはいて、「何年かしたら武大に留学したい」と言ってる子どもが二人います。オランダの少年剣道の人口から考えるとすごい比率です。

思うに、この「やらせすぎないでおこう」という姿勢が、子どもを縛り付けず、自主性や「好きの気持ち」を伸ばすんだと思います。他の国はどうか分かりませんが、少なくとも夏のバカンスの時期は確保されていて、稽古をお休みにしています。日本だと、夏休みこそ稽古!って感じかもしれませんが…。

たくさんの稽古を積んだ結果、磨かれるものもある一方で、オランダのように余白を与えて子どもたち育てるやり方も、また素敵だと感じます。


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ABOUTこの記事をかいた人

横浜出身、オランダ在住のフリーライター&Webディレクター。ジャンルを問わないSEOライティングが得意です。ディレクションはLP・採用サイト・企業サイト・オウンドメディア、何でもやります。お仕事のご依頼は[marikoアット1design.jp]もしくはTwitterへ。[ID mariko_cabin442] 最近、剣道五段に受かりました。旅行と読書と寝ることと、漫画が好きです。細かいことを気にしない性格です。