取材先の道場の助っ人で、少年剣道の錬成会に参加してきました。場所は千葉。最初依頼を受けたときは、「まー7時くらいに集合かな〜」とぼんやり考えてたのですが、朝4時に起きて5時頃集合でした(笑)少年剣道の先生方の週末は毎週こんな感じなのでしょうか?
日本の少年剣道道場主催の錬成会に参加するのは、戸塚道場の翔き錬成会、磯子警察少年剣道推進会の錬成会に引き続き3回目。先生も保護者の方々も小学生たちも、本当に一生懸命で、もう「すごい」の一言です。
私は中学校から部活で剣道を始めて、オランダに行く前に所属していた道場はこういう錬成会には参加してなかったので、日本のザ・少年剣道の錬成会に参加するのは実は初めて。フレッシュな視点があるうちに、感じたことを書き残しておこうと思います。
神奈川の、少なくとも横浜近辺は、実力が近しい道場や価値観の似ている指導者の先生方が声をかけあって錬成会を企画しているのかなぁと思います(他の地域のこともぜひ教えてください!)。
今回参加した錬成会は、名の知れた道場が集まってきていたのですが、事前に配られたPDFにはどこの剣友会がどの場所に荷物を置くとかも定められていてわかりやすく、しかも参加する側も整理整頓が完璧。子供だけではなく、保護者側にも意思統一ができてる感じです。強豪道場は生活面でも行動が素晴らしいんだと改めて思いました。
参加道場も多い中で、リーグ戦をたくさんやったのですが、リーグ内での結果をすぐに反映して次のリーグに生かされてて、なんかそれもすごかったです。お母さんがたが結果を記録してすぐ計算して「次はどこどこの会場だ」と教えてくださって心強かったです。私はただ座って、子供たちの試合にコメントするのみでした…。
ポーランドの大人の試合では、これをアプリで完結させているようです。なんか、ポーランド人にめちゃくちゃ賢いエンジニアがいて、試合用のアプリを作り、参加者が自分で結果を入力すると自動的にランキングを作り次はどこの会場で試合だって教えてくれるそうです。多言語対応したら、こういう子どもの錬成会でも役立ちそうだなぁなんてぼんやり考えていました。
試合の景品は、お菓子でできたトロフィーやカブトムシ(お母さんたちからは、ぎゃー!持って帰ってこないで!と悲鳴が上がってた笑)、スイカ、そして会場の入り口では主催の方々がかき氷を提供してくださっていました。
試合は一生懸命やるけれど、こういった遊びの要素も随所随所に散りばめられていて素敵でした。試合会場で食べたかき氷のこと、きっと大人になっても忘れないんじゃないかな。
興武館の小澤博先生は、自著の中でこんなことを書かれています。
人間を含め幼児期の動物は、たっぷり用意された遊び時間の中で様々なことを覚えていく。稽古・練習の時間を遊びに振り分けることによって、人間らしい振る舞いを覚えるし、年齢相応の付き合い方も身に付けていくだろう。
能楽の世阿弥が書いた『風姿花伝』という本がある。それには、幼児期は遊び程度のことで良い、とある。最近の日本社会は、学問・スポーツ・芸事等あらゆる分野で早期の幼児教育が流行しているというが、果たして未来はどうなっていくのだろうか。
『私は人生のすべてを剣道から学んだ(1)こころに残る稽古風景』小澤博
今回参加した子たちは4年生以下なので、幼児よりちょっと年上くらいですが、試合に負ければ悔しくて泣いちゃうし、泣いてたかと思ったらいつの間にか友達と戯れあって遊んでて、まだまだ幼いです。だから、遊びの要素ってすごく大事なんじゃないかな。
ちなみに、ヨーロッパはこんなふうに子どもの錬成会はなかなかできないんですよね。各国の少年剣道の人口が少ないし、試合も年に数回あるかないか。でも、いいところは子どものうちから国を超えた交流ができること。ヨーロッパの少年剣士たちは、国関係なく仲が良くて、試合中も一緒に話したり、言語が違っても遊んでいます。今年の夏は日本にきている子も多いのですが、フランスとベルギーの子たちが一緒に玉竜旗観戦をしたりしてます。
いつか、ヨーロッパのジュニアの連合チームや熱心な道場の子たちをこういう錬成会、試合に呼べたらいいなぁなんて思ってます。宿泊施設や会場とかがネックになりそうなんですけどね。フライト代だって安くないし。逆に、日本の子たちがヨーロッパに行って交流するのも素敵じゃないかななんて思います。