上手な聞き手になるために

ライターとして書く記事はさまざまで、SEO記事、コラム、翻訳、インタビュー記事をこれまで書いてきました。

インタビュー記事を書くようになったのはここ数年なのですが、SEO記事やコラムとは違う、新鮮な発見がたくさんありました。個人的にとても好きなのが、インタビュー後にじっくりと聞く話し手の音源です。また、インタビューを聞き返すことで、「話の聞き方」にも考えを巡らすようになりました。

耳に心地よい声

インタビューを形にしていくのもとても楽しい作業ではあるのですが、私は文字起こしも大好きです。

インタビュー中はなんだかんだ気持ちが張っていますが、文字起こしをしているときは、その人の言葉に集中できます。一生懸命話してくれた人の声には、思いや感情が乗ってて、聞いてて心地よいです。

インタビュー中よりも、音声が自分の耳に近いところで聞けるからか、声に乗ったエネルギーや感情がダイレクトに届きやすいのかもしれません。いろんなことを経て、いまこうやって話してくれているんだろうなぁ、おもしろいなぁと思いながら音源を聞いています。

文字起こしは私にとって写経みたいな時間で、他の仕事とはちょっと違う集中や癒しがあるような気がしています。

会話が下手だと気づく

一方で、自分はなんて会話が下手なんだろう…と、聞いてて愕然とすることもあります😅

上手な人は、話した人の言葉を受け止めて、膨らませています
相手の考えを一歩進めるようなまとめ方、質問を投げかけて、話し手をハッとさせたり、会話(インタビュー)を盛り上げます。

「インタビュー記事」は「書く仕事」として依頼を受けたと思っていたけれど、この仕事をきっかけに「話の聞き方」に強い興味が芽生えてきました。

絶妙な「聞き方」(PHP文庫) / 宇都出 雅巳 (著)

「聞き方」に関する本を読む機会が増え、最近はXのタイムラインで見かけた『絶妙な「聞き方」(PHP文庫)』を読みました。相手の話を上手に聞くための心構えや、細やかな注意点がまとまっています。以下に、本書を読んでおもしろかったなーと思った点をまとめます。

「相手の話」ではなく、「自分の記憶」「考え」を聞いている?

会話をしているとき、聞き手の中にはさまざまな反応が起こっています。たとえば、相手が「10月にハワイに行ったよ!」と言った時、聞き手の中には自分の思い出、経験、感想などが湧き上がってきます。

それは必ずしも悪いことではないけれど、意識が自分に向き過ぎてしまうと、せっかく相手が話してくれたのに、会話を広げることができません。

これはまさに、インタビュー音源を聞いて、「気をつけなければ…」とハッとしていたことでした。

大切なのは、自分の記憶や考えに思いを巡らせるのではなく、相手の言葉や相手自身の奥にあるものに好奇心を向けること。

「事柄」と「人」、バランスよく焦点をあてよう

本書で、会話を広げる際の質問を「事柄」と「人」に分類している点がおもしろかったです。

たとえば、相手が「昨日、映画を観たよ」と話してきたとしたら、「どんな映画?」と聞くのは事柄に関する質問で、「映画の何に感動した?」は、人に焦点をあてた質問。

夢や目標を聞く場合、「あなたの夢、目標は?」と聞くのは事柄、「目標の達成に、どんな意味があるの?」は人に焦点を当てた質問です。

あんまりぐいぐい踏み込んでほしくない人は、事柄中心で話す方が安心だろうし、日々色々なことを考えて人に共有したいと考えている人は、人中心に話を広げるとおもしろいのではないでしょうか。

聞き方次第で、相手にも自分にも変化が起こる?

「10年前は何をしていた?」
「10年後はどうなっていたい?」

過去について聞くか、未来について聞くかによって、相手の意識の方向が変わります。
簡単なことではないけれど、質問の仕方次第で相手の意識のストッパーが取れて、ブレークスルーが起こることも。

そう思うと、話の聞き方次第で相手を少なからず変化させてしまうこともあるかもしれませんね。また、本書を読んでいて印象的だったのは、「相手の生の体験を聴くと、自分も成長する」という言葉でした。これは確かにインタビューをしていると感じることで、実際に自分は体験していなくても、相手の「見たこと・聞いたこと・感じたこと」を一生懸命聞こうとすると、自分も少なからず追体験ができる気がします。

聞き上手とは?

本書の冒頭で、聞き上手について記載されていたのですが、「上手に話が聞けている状態」は以下のようにまとめられます。

  • 相手の話を深く理解できる
  • 相手そのものに対する理解も深まる
  • 話し手が自分の考えを整理できたり、気づきを得られる
  • 話し手が自分の中にある深い思いを知るきっかけを作る
  • 相手の力を引き出し、元気にする
  • 聞き手も元気になれる

インタビューが終わるとちょっとテンションが上がって元気になるのは、きっと相手に元気をもらっているからかもしれません。

私は喋るのも大好きなので、ついつい自分の考えを会話の中で挟みがちなのですが、相手の話に集中して、自分の考えを練るのはその話を聞き切ってから(家に帰ってからとか)でいいのかな?と考えるようになりました。

今回ピックアップしたのは私が「おもしろいな」と思った事柄なので、本書にはもっと色々なことが書かれています。気になる方はぜひ読んでみてください。

絶妙な「聞き方」』宇都出雅巳著(PHP研究所)
※ 現在電子書籍のみ発売中 

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ABOUTこの記事をかいた人

横浜出身、オランダ在住のフリーライター&Webディレクター。ジャンルを問わないSEOライティングが得意です。ディレクションはLP・採用サイト・企業サイト・オウンドメディア、何でもやります。お仕事のご依頼は[marikoアット1design.jp]もしくはTwitterへ。[ID mariko_cabin442] 最近、剣道五段に受かりました。旅行と読書と寝ることと、漫画が好きです。細かいことを気にしない性格です。