フリーランス建築士:かおりさん


アムステルダムで働くフリーランスの日本人に、どんな仕事・生活をしているのか突撃インタビューする企画、「マリコの部屋」へようこそ!第2回は、フリーランスの建築士・インテリアコーディネーターとして働くかおりさんです。

家具や小物はまずヴィンテージマーケットをチェック。いいデザインのものがお手頃で手に入るのはヨーロッパならでは。

建築士、インテリアコーディネーターとしてアムステルダムに拠点を置くかおりさん。元々はワーキングホリデービザを取得し、ドイツでの滞在から、オランダに来たそう。まずは、オランダに来るまでの経緯をうかがいました。

「本物」を見るためにヨーロッパへ

ー オランダにきたきっかけを教えてください。

かおりさん:「ヨーロッパに来た最初の目的は、各国の展示会やショールーム(建築関係)、建築を実際に見るためです。
仕事内容は”住宅の設計・コーディネート”。いわば”住宅を作る”仕事です。

日本で建築会社に勤めていたときに、お客さんから『北欧の家具が似合う家にしたい』『フランスのヴィンテージインテリアを再現したい』などの思いを聞きました。でも、実際に見たことがなかったら結局は『なんちゃって風』になるんじゃないかなと思ったんです。

たとえ『**風』であっても、本物を見た上の工夫ができなければきちんとした提案ができない。住宅は人生でも一番の大きな買い物である上、何十年も住み続けていくもの。携わる立場として、マイホームを建築するのに『なんちゃって』の提案しかできないのはお客さんに失礼じゃないかと思いました。今は雑誌やネットで写真を見ることもできますが、現地で体感しないとわからない空気や迫力があります。実際に見て感じないと『知っている』とは言えないと思っていました。」

ー 仕事に対する熱意がすごいですね。

かおりさん:「実際に世界中の建築を見に行きたいという思いはありつつも、企業に勤めているとなかなか長い連休を何度も取ることはできません。ワーキングホリデービザが取得できる最後のチャンスである29歳になったとき、『チャンスを逃して一生後悔をしたくない』という思いから退職を決意しました。一年間集中してヨーロッパ中の建築を見に行こう、とドイツに渡ったんです。

もともと建築の仕事がしたいと思ったきっかけは、中学生の時に見ていた『世界遺産』という番組です。ヨーロッパの建築や街並みは自分自身の原点でもありました。」

もともとペイントされていた壁や備え付けの家具を中心に、DIYや小物でコーディネート。(写真提供:かおりさん)

ー ドイツでの活動について教えていただけますか?

かおりさん:「ドイツでは語学学校に通いながら、8月から10月にはヨーロッパ中で開催される展示会や都市巡りに行きました。オランダに出会ったのはそのときです。自分にとって、オランダは完全にノーマークの国でした。”穏やかな国”というイメージが強かったオランダのデザインは、ドイツと比べてかなり刺激的に感じました。日本での仕事をするなかでは実現できなかったディテールやデザインが、オランダでは全部叶っていること、自分には全く持っていなかった発想力の数々に衝撃を受けます。『この国はなんだ。すごい。もっと知りたい』と思いました。」

ー その衝撃がきっかけで、オランダに移住なさったのですね。

かおりさん:「はい。オランダの他にも15ヶ国様々な国に足を運びましたが、秋に開催されるダッチデザインウィークを見るために再びオランダを訪れ、この国を知らずには日本に帰れないと思いました。」

備え付けのIKEA製テーブルはかおりさん自身でリメイク(写真提供:かおりさん)

オランダでフリーランスビザを取得

ー オランダでのお仕事について教えていただけますか?

かおりさん:「すっかりオランダに魅せられ、ドイツからオランダに移りフリーランスビザを取得しました。インテリアデザイナー、ライター、バイヤーを事業として登録しています。

現在の仕事は、日本の建築会社からの依頼がほとんどです。私自身はオランダ時間で働いていますが、日本の会社と打ち合わせをする際はお互いのタイミングをすり合わせて電話でMTGを行っています。

普段は住宅リノベーションのデザイン業務、図面の作成等をメインに、建築関係の記事の執筆などもしています。実際にヨーロッパのデザインに触れ、インスピレーションを得ながら今までの経験を活かせる現在のスタイルはとても恵まれている環境だと感じています。日本にいなくても仕事を任せてもらえる、理解ある企業と出会えた点が幸運でした。」

かおりさんはライターとしても活躍中。こちらはLIXIL OWNERS CLUBでの連載

チャンスがあるなら掴みたい。出来る事をやりきって、ダメだったら帰国でいい

照明の演出はインテリアに欠かせないアイテム。明るさを調節しながらリラックスできる雰囲気を楽しんでいます。(写真提供:かおりさん)

ー オランダへの移住は、大変でしたか?

かおりさん:「オランダにはワーキングホリデー制度がまだありません。(※2018年現在) 住める方法がないか色々調べ、フリーランスとしてだったらオランダに住めるのではと思いました。ダメだったら帰国でもいいチャレンジで終わってもいいとにかく行ってみようと思ったんです。

一からのスタートでしたが、オランダ生活もいつのまにか二年目を迎えました。直感を信じての行動でしたが、二年を過ぎた今でも発見や刺激が多く、来て本当によかったと感じています。仕事の幅も広がりました。」

ポートフォリオとして素敵なインテリアライフをまとめた、かおりさんのInstagram

英語とドイツ語の勉強方法

ー 英語とドイツ語の勉強方法についてコツを教えていただけますか?

かおりさん:「ワーホリで行ったドイツでは語学学校に通っていましたが、教科書も先生が話す言葉も全てドイツ語。初めは全くドイツ語がわからなかったのため、毎日教科書を全て訳す予習が欠かせませんでした。

英語に関しては、日本の義務教育で触れた記憶があったため、思い出しながら新しい知識を学んでいきました。人と話す機会、メールする機会があると、自然と言葉をつかい、耳にする機会も増えます。本を読んでの学習もいいですが、普段使っている表現なのか判断しずらいことがあります。会話の中で実際に使われていると、『こういう表現でいいんだ』と納得できました。」

かおりさんへの仕事のご依頼はこちら

建築士・インテリアデザイナーとして活躍する海外リモートワーカーのかおりさん。住まい関係のお仕事はもちろん、ライターとしても活動中です。ふんわり優しい雰囲気のなかに、強い芯を感じさせる素敵な女性でした。
ドイツにワーキングホリデーに渡った理由もかなりアグレッシブですが、日本でのフリーランス経験なくオランダでフリーランスになった点も驚きです。フリーランスになるまでの準備や心構えに時間がかかって、なかなか踏み出せない人もいるなかで、すごいバイタリティーではないでしょうか。

そんなかおりさんへのお仕事の依頼は、Instagramもしくは<[email protected]>にてお願いします。

※お願い:
こちらの記事内でご紹介した方への無料の移住の相談はご遠慮ください。移住相談に関しては、有料でサービスを提供している方がいらっしゃいます。


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ABOUTこの記事をかいた人

横浜出身、オランダ在住のフリーライター&Webディレクター。ジャンルを問わないSEOライティングが得意です。ディレクションはLP・採用サイト・企業サイト・オウンドメディア、何でもやります。お仕事のご依頼は[marikoアット1design.jp]もしくはTwitterへ。[ID mariko_cabin442] 最近、剣道五段に受かりました。旅行と読書と寝ることと、漫画が好きです。細かいことを気にしない性格です。