オランダの個人ID管理システム、DigiDとは？

オランダは、電子化が日本よりもずっと進んでいる印象があります。民間だけではなく、政府も便利な電子システムを提供して、役所に行かなくても手続きを簡単に進めることができます。

こちらの記事では、オランダ政府が提供するDigiD（Digital Identity / 電子識別）の概要と、DigiDを使ってログインできる代表的なサービスをご紹介します。

DigiDとは

DigiDとは、オランダ政府が提供する電子識別サービスです。オランダでは日本と同様に、手続きで市役所や区役所に行くと身分証明書の提示を求められます。その際にDigiDを見せることで身分証明書と同じ役割を果たしてくれるのです。

また、日本人の私からすると驚きだったのが、政府や自治体が運営するWebサイトにDigiDを使ってログインできること。例えば、IND（移民局）に書類を提出するときもDigiDでログインして書類をアップロード可能ですし、税務署のWebサイトにもDigiDでログインできます。オープンIDの一種でしょうか。郵送だと届いたかどうか不安になりますが、Webから提出すれば履歴が残り提出も早いです。

DigiDの申し込み方法

DigiDに申し込みたい場合、こちらのページから申請を行います。
申請から5日以内にアクティベーションコードが郵送されてきますので、Webからそれを入力するとDigiDが利用できます。その際、ユーザー名とパスワードも必要ですので忘れないようにしましょう。

DigiD appを使ったログイン

DigiDが使えるようになったら、アプリのダウンロードもおすすめです。
例えば、Belastingdienst（税務署）のマイページにログインする際もDigiDを使います。二段階認証のため、通常は携帯に送られてきたTANコードを入力しなければいけないのですが、この時アプリを使えばTANコードを使うことなく手続きが完結します。

日本だと政府系や公的サービスが出しているサイトはすごく読みずらかったり分かりにくいのですが、オランダはどのサービスもWebサイト・アプリのUIが優れています。

DigiDの有効期限

DigiDは最後にログインしてから3年有効です。

DigiDでログインできるサービス

DigiDを使用してログインすると、市民サービス番号（BSN）が組織のWebサイトに送信されます。このためDigiDと連携できるのは市民サービス番号を使用する資格がある組織のみです。前述したようにDigiDは身分証明の役割を果たしており、組織もDigiDによって利用者が何者か知ることができるのです。

下記のページには、DigiDを使ってログインできる国家機関、自治体のサービスがまとまっています。かなりたくさんあります。
Wie doen mee?（※オランダ語のみ）

私は最近、Immigratie- en Naturalisatiedienst（IND/移民局）やKamer van Koophandel（商工会議所）、Belastingdienst（税務署）、Sociale Verzekeringsbank (SVB/年金管理する組織？)などにログインする際に使用しました。

オランダと日本の違い

DigiDだけではなく他のサービスを使っていても思うのは、自治体と国の連携がとにかく速いということです。例えば、引っ越しをして自治体に届出を出すと自動で自分の個人事業の事業所の住所や銀行に登録された住所も変更されます。これは、多くの情報が市民番号に紐づいているからですね。日本のようにいちいち各サービスに届出を出す必要もなく変更届や住所転送の必要もないのですごく便利に感じます。

また、前述しましたが、DigiDも税務署も銀行も独自のアプリを出しててこれらもすごく使い勝手がいいです。外国人の私でもスムーズに使えるって相当分かりやすいのではないでしょうか。日本で確定申告を電子申告しようとした時は、かなり手こずり最終的に挫折し、結局郵送しました。公的機関のWebサービスに関しては、オランダの方が分かりやすいように感じます。