「感謝」はどのように幸福につながるのか


最近、仕事で「高齢者の感謝」に関する記事を書いています。

近年の研究だと、人に感謝することでウェルビーイングが向上し、心身の健康にも良い影響を与えることがわかっています。高齢者に限っていうと、人に感謝している方は、最期の時を穏やかに過ごせるそうです。

「感謝 ウェルビーイング」で調べると、ビジネス系の記事もけっこう出てきます。ちょっとした感謝の気持ちを伝えるだけで、組織にとっても良い効果があるようです。

感謝にはいくつか構成要素があって、

  • 価値あるものに気づく体験
  • 自分の内と外に向かう肯定的な気持ち
  • 他者への返礼行動

などがあるそうです。

他の人は、感謝についてどう考えているんだろうとInstagramのストーリーズで聞いてみたところ、ある人がこんな回答をしてくれました。

感謝の心がないと誰からも愛されず、誰からも信頼されない人間になってしまいます。

これは、上記で挙げた構成要素の中の「返礼行動」に該当するのかなと思います。誰かの思い遣りとか好意、厚意に対して、「ありがとう」と伝えることで、人間関係がより良いものになっていく。結果としてそれが幸福につながる、みたいな感じでしょうか。

構成要素の中の「価値あるものに気づく体験」や「自分の内と外に向かう肯定的な気持ち」に関しては、ちょうど私自身、最近感じたことがあったので、書いてみようと思います。

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今年の2月に、母が心肺停止になってICUに入り蘇生したのですが、その時に親族が集まって母の延命のために話し合う機会がありました。当たり前に毎日が続いていくと思ってたのに、なんだか全部ぶっ壊れてしまうような衝撃でした。

その時の親族の振る舞いを見て、私は「うちの家族っていいなぁ」とか「この家族で良かったな」と感じました(価値あるものに気づく体験)。これは、頭で考えるのではなく、自分の奥から湧き上がってくるような不思議な感覚でした。そして、そう感じたことで、「私はいい家族のもとで生きてきたんだ」と、すごく自己肯定感が上がって、自分自身が安定するような感覚がありました。

もう一つ、私は剣道にもすごく感謝をしています。

オランダ移住をして4年ほど住み続けましたが、私を支えてくれたのは剣道の友人たちや日本人のフリーランス仲間、コワーキングスペースで知り合ったオランダ人たちでした。特に、剣道の友人たちとは過ごす時間が長かったし、生活のこと、最近オランダで流行っているもの、取材候補の企業、オランダで過ごす上で気をつけなくてはいけないことなど、本当に、色々なことを教えてもらいました。

オランダの朝の街を歩いているときに「自分が日本に逃げ帰らずに、こうやって色々な経験をできて、美しい街を見れるのは、周りの人たちのおかげだな」と、ある時、心の底から湧き上がってくるような気持ちがありました。その時の景色も、よく覚えています。それが自己肯定感につながったとか、そういうことはないのですが、「この恩を忘れずに、必ず返そう」と思ったことをよく覚えています。

そう考えてみると、「感謝するようなできごと」があって、それに意識的であるかどうかが幸福につながっているような気もします。「できごと」は日常の小さなものの積み重ねでもあるし、大切な人との別れや環境の変化など、衝撃の強いものかもしれません。

個人的には、倫理的に「何事にも感謝することが大事」と諭されて、その実践のためにする感謝ではなく、自分の意思や理性に関係なく、心の底から湧き上がってくるような感謝を経験したいなぁなんて思います。だってそれは、自分の本能に近い、すごく純な「感謝」だから、人生における「変化」や「幸福」に影響が強いものだと思うんです。


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横浜出身、オランダ在住のフリーライター&Webディレクター。ジャンルを問わないSEOライティングが得意です。ディレクションはLP・採用サイト・企業サイト・オウンドメディア、何でもやります。お仕事のご依頼は[marikoアット1design.jp]もしくはTwitterへ。[ID mariko_cabin442] 最近、剣道五段に受かりました。旅行と読書と寝ることと、漫画が好きです。細かいことを気にしない性格です。