個人事業主(フリーランス)になりたての頃のFacebookのポストを振り返ってて、こんなポストが出てきました。
「上野の税務署に来ました。正面に不忍池があります。天気もいいし、綺麗!
個人事業主の開業届を取りに来ました。屋号はなににしようかなー。がんばるぞ〜(2015年5月26日)」
開業届は、税務署に「事業を開始しました」とお知らせするための届出です。国税庁のホームページからもダウンロード・印刷できるのですが、「税務署に行ってみたい」「職員の人と話してみたい」という好奇心から、わざわざ最寄りの税務署まで行ってきたんです。
実際、税務署に行くと色んなパンフレットとか展示があるので、行ってみると面白いし情報を得られたりします。
このポストのコメント欄に、当時所属していた渋谷の剣道道場の先生方から「屋号はこれにしたらどうか?」というご提案をいくつかいただきました。
- つどめこ(小手面胴突の最初の文字を逆から並べたもの)
- ToDoMe.Co
- 初太刀株式会社
- 金王開発
先生たちの頭の中は、本当、剣道だらけなんだなって思いました。
最初に断っておくと、当時、剣道を仕事にしようって1ミリも考えてなかったんですね。やるならマーケティングとかWeb制作かなって。けっきょく、1designにしました。
開業届と屋号
上記の画像が、開業届です。色々記入するところがあるのですが、まあ、冒頭の「住所」とか「職業」あたりまでは余裕なんですよ。特に迷わないんです。問題は右下の「屋号」。この届出みるまで、ぶっちゃけ屋号について全然考えてなかったんですよね。早く開業したいのに、屋号が思いつかないがために、ちょっと開業の作業が滞っちゃうんです。
屋号とは
法人に「会社名」があるように、個人事業には「屋号」があります。
屋号はつけてもつけなくてもいいのですが、銀行口座を解説した時に屋号が入っていた方が信頼度がアップするなどのメリットがあります。個人的には、屋号があった方が「自分は事業主なんだ」という気持ちになって、何だかやる気も出ます。
屋号の付け方
多くの人が、「屋号どうやってつけよう?」「自分はネーミングセンスがない」「全然思いつかない」って悩むと思います。屋号は後からも変えられるので、私はけっこう適当につけちゃいました。事業を運営しているとある日「これがいい!」って思いつくこともあるので、最初は仮で屋号をつけるのもいいかもしれません。
事業名からの連想
最近、このブログのタイトルを「freelance journal(フリーランス・ジャーナル)」に変えました。オランダに来てから2年ちょい、事業内容がWeb開発から記事執筆・編集にシフトしてきて、ブログ記事の内容もフリーランス向けのものが増えてきたためです。
事業名から事業内容がすぐに連想できるかは、けっこう重要だと思っています。かっこいい英語名をつけているクールなフリーランスもいるのですが、それは明確なコンセプトや信条がある場合で、個人的には「わかりやすさ」が大事なんじゃないかなと思っています。屋号の理由を聞かれることもあるので、自分の事業に関わる名前にしていると説明しやすいです。
屋号のアイデア①自分の名前+事業内容
例えば、オランダでジュエリーデザイナーとして活躍するYuka ItoさんはYuka Ito Designと、自分の名前+事業内容で屋号をつけています。
このようにデザイン関連であれば、名前+designというシンプルなものでもいいかもしれません。
屋号のアイデア②自分の名前+オフィス
「オフィス」とか、「商店」も素敵だなと思います。コラムニストの中村孝則さんはオフィス・ダンディ・ナカムラという屋号です(この場合は、株式会社)。オフィス・ナカムラだけでも響きがいいですけど、ミドルネーム的な位置に「ダンディ」ってあります。中村先生は剣道七段で、東京にいた時に剣道を教えていただいていました。ラジオやテレビにも出演していらして、テレビでもリアルでも皆から「ダンディ」って呼ばれています。
文筆業など「オフィスで仕事してそう」と連想される職業にオススメの屋号の付け方です。
屋号のアイデア③自分の名前+商店
高柳喜一商店という剣道の防具屋さんがあるのですが、これも名前がかわいいなぁと勝手に思ってます。喜一って昔っぽくてしぶい。「佐藤商店」だと「佐藤」が普通すぎて面白みがないのですが、珍しい名字や、読み上げた時の響きが良い場合は名前+商店もいいのではないでしょうか。
屋号のアイデア④四文字の言葉
ユニクロ、しまむらなど、四文字の言葉って字面も響きもいいですよね。これも剣道商品のショッピングモール「BUSHIZO(ブシゾー)」は、武士と新渡戸稲造をかけて作ったそうです。
また、渋谷を拠点としている剣道の稽古会「Hagakurey(ハガクレ)」も四文字。『葉隠』は、江戸時代中期に書かれた書物で、肥前国佐賀鍋島藩士・山本常朝による武士としての心得を口述したものです。漫画版の『葉隠』を読んだのですが、お城勤めでパワハラとか嫌がらせに遭って、メンタルやられてしまった武士・田代陣基さんが、山本常朝氏に色々アドバイスをもらう、という話で面白かったです。昔から職場の悩みって尽きないものなんですね!
屋号のアイデア⑤英語や他の言語
自分の事業の内容や信条などを英語にする方法もあります。最近、友達と竹刀のリサイクルプロジェクトを始めたのですが、「STUDIO SHINAI(スタジオ・シナイ)」という名前にしました。studioって、物作りをしている場所っていうイメージがあるので、「竹から作ったプロダクトを作るチーム」と分かってもらいやすいかなと思っています。
また、こちらもオランダで友達と一緒にやっている事業で「Kendo Vault(ケンドー・ボルト)」というのがあります。Vaultは金庫っていう意味らしく、剣道に関する知識の宝庫という意味が込められています。Vaultって単語、友達に教えてもらって初めて知りました。事業内容は、『剣道時代』の記事翻訳です。最近、通訳始めたり事業が広がってきているので名前変えたほうがいいんじゃ…という話も出てきてます。
英語を使うと字面がかっこいいしシャレてる感じするのがいいのですが、例えば変なTシャツきている外国籍の人がいるように、ニュアンスを理解し切らず使うと逆にカッコ悪くなる可能性もある点には注意が必要です。
屋号と検索エンジン
屋号は、「検索しやすいかどうか」も少し考慮したほうがいいと思います。めちゃくちゃ長い上に何語かわからない、音も覚えにくい事業名だったら、検索しにくいです。
事業名で検索される機会はそこまで多くないと思うのですが、「仕事を頼もう」と思った時にすぐたどり着いてもらえるよう、検索しやすい単語の方がいいでしょう。
また、思いついた屋号がすでに存在する場合もあります。屋号の候補を思いついたら、一度検索してみることをお勧めします。ちなみに、オランダでは、kvk(商工会議所)のWebサイトから屋号の被りがないか検索することができます。
屋号と印鑑
法人の場合は印鑑を作る必要がありますが、個人事業主の場合は個人の印鑑でもOKです。なので、私は屋号を作る時に印鑑まで考えなかったのですが、あんまり長すぎる名前だと印鑑作るのが大変かもしれませんね。
まとめ
屋号はつけてもつけなくても良いものですが、屋号があることで信頼度が少し上がったり、「自分で事業を持っているんだ」とやる気が上がるといったメリットもあります。画数を気にして占い師さんにアドバイスをもらう方もいるくらいなので、フリーランス・個人事業主にとっては重要な事柄だなぁと思います。自分は適当につけちゃったのですが。