私が請け負う仕事の中には「ライティング」があって、ざっくり言うと企業のホームページで使用する文章を書いたり、メディアに記事を寄稿しています。
この仕事を本格的に始めたのは2017年からです。編集プロダクションに所属していたわけではないので自己流な部分が多いです。
どこかプロダクションに所属して作法を学ぶのが一番かもしれないのですが、剣道の翻訳の仕事やホームページ運用の仕事など、他にも請け負っている仕事があり、そんな中でプロダクションに所属させてほしい…とお願いするのは中途半端すぎる、と思っています。
ということで、書籍などを通してできる限り「書くこと」について学ばなくては、と『取材・執筆・推敲 書く人の教科書』を購入しました。発売は2021年4月7日で、2年以上前。知人・友人が「すごくいい本だ」と絶賛していたのですが、これまで読まずにいました。一度最後まで読みましたが「読んで終わり」にせずに、読んで刺激を受けたこと、考えたこと、学びになったことを何回かに分けてブログに書いていきたいと思います。
ライターとは何か
前置きが長くなりました。
今回は、本書のガイダンスで問いかけられていた「ライターとはなにか」について書きたいと思います。この問いは、私自身もここ数年ずっと考えていたことでした。
詩人や小説家と違ってライターは、なにを書く人のことをそう呼ぶのか、対象がきわめてあいまいなのだ。無論、「小説のような創作物ではなく、取材に基づく記事全般を書くのがライターだ」とする考え方はあるだろう。しかしそれだと、新聞記者やジャーナリストとの違いがわからなくなる。ノンフィクション作家との境界線もまた、不鮮明になる。
『取材・執筆・推敲 書く人の教科書』古賀史健
「ライター」だけだと漠然としすぎていて仕事内容が伝わらないし、かといって記者やジャーナリストとも違う。エッセイストでもない。多くの人は「雑誌」などのライターをイメージするようですが、私は雑誌にはほとんど記事を書きません。
ライターの主戦場が「出版」だった時代、ライターと編集者はきれいに分業できていた。出版社には編集を専業とするプロの編集者がいて、さまざまな知見が蓄積され、継承されていた。ライターは「書くこと」だけに専念していれば、それでよかった。
しかし、2010年代に突入したあたりからその図式が崩れていく。
いま、ライターを名乗る人のほとんどは「ウェブ」を主戦場としている。
『取材・執筆・推敲 書く人の教科書』古賀史健
上記を読んで、自分の仕事を説明しにくい理由の一つに「ウェブが主戦場であること」が関係しているのかなと思いました。
私の仕事は主に、
- 導入事例
- 社長インタビュー
- 社員インタビュー
- 社内の取り組み
- ニュースレター
- Webページのテキスト全般
- オウンドメディアの記事執筆
- Webメディアへの寄稿
などで、どれもWebサイトに掲載するものです。雑誌や書籍はライターと編集者がいると誰もがイメージできると思いますが、Webサイトのテキストを誰が書いているか、専業のライターがいるということは、あまり意識されないのではないでしょうか。
本書では、こういった点もひっくるめて「お客さんの存在を前提にコンテンツを作るのがライター」と記載していました。英語圏では、コンテンツ・ライターと呼ばれています。日本だとピンとこないかもしれないけれど、この呼び名が一番しっくりくるのかなと思います。
よいコンテンツを作るために
よいコンテンツってなんだろう。それを作るための手がかりを得たくて、本書を手に取ったのですが、ヒントになるような言葉がたくさんありました。
いいものを読んだ、気持ちのいいものに触れた、いい出会いだった、と思ってもらえてこそのコンテンツなのだ。
『取材・執筆・推敲 書く人の教科書』古賀史健
一般にウェブディレクターと呼ばれる彼らの多くは、アクセスデータを読むことはできても、編集ができない。進行管理はできても、編集ができない。そのため、つくられるコンテンツの多くは「いま流行っているもの」や「最近数字がとれたもの」のあ後追いになってしまう。
『取材・執筆・推敲 書く人の教科書』古賀史健
これは本当にそうで、SEO記事に象徴されるように、企業のオウンドメディアで記事を書く際はまず「検索キーワード」を調べ、ニーズありきの記事を書きます。それもすごく大切なことなのですが、読み手が思い至ってなかった情報に偶然出会うような記事ではないんですよね(記事の中に散りばめることはできるけど)。
本書では、「価値あるコンテンツ」の条件に以下の三つを挙げています。
- 情報の希少性
- 課題の鏡面性
- 構造の頑強性
これらのことを意識しながら、できるだけよい記事をつくることを考えていきたいなと思いました。お客さんが少しでも感動してくれるような仕事ができたら最高ですよね…。
8月5日から文章の練習のために毎日ブログを書くようにしているのですが、
- 取材や仕事を通しての気づき
- エッセイ
が今のところ中心なので、どこかのタイミングで頑張って「取材」も入れていきたいです。ただ書くだけではなく、やはり「取材」のトレーニングも大事だと思います。本書には「取材」に関してもたくさんの知見が詰まっているので、実際に取材をしながら、書かれていること・学んだことについてブログを書きたいです。
取材対象としたいのは、
- 国を問わず、これからの会社のあり方、仕事のあり方を考え、実践している企業や人
これについては、また後日ブログを書きたいと思っています。取材って時間がかかるし、しんどいけど、自分の仕事の質をもっと高めたいので、頑張りたいなと思います。