会計ソフトのfreeeが2019年6月24日、オンライン融資の提案サービス「資金繰り改善ナビ」を発表しました。これは中小企業や個人事業主を対象としたサービスで、freeeに蓄積された100万社以上の財務データを元に、AIが3ヶ月先の残高と資金繰りを予測、借り入れ可能な金額や金利などを算出してくれるというものです。
「どこから、いくらまで、金利はどれくらいで」借りられるかを一覧で知ることができるのはすごいことだと驚きました。
私はライター業やマーケティング業務を主に行なっているので、初期投資や仕入れなどが必要ありません。なので、融資の申し込みを考えたことはなかったのですが、店舗やオフィス(教室など)が必要な中小企業・個人事業主など、業態によってはまとまったお金が必要です。大口の新規取引が決まって、仕入れのための資金が必要になったり、機材のために数十万円の小口資金が必要なケースもあるでしょう。
お金周りに関する相談相手
お金周りに関する相談は、同じく経営者の方に聞くことが多いそう。融資の話に限らず、健康保険やフリーランスに関する制度など、確かに同じく個人事業主やフリーランス同士で話すことが多いです。会計周りを任せている税理士さんや会計士さんに聞いてみてもいいかもしれません。身近に相談できる人がいない場合は、オンラインから税理士さんに相談できるサービス「税理士ドットコム みんなの税務相談」の活用がおすすめです。
また、会計ソフトfreeeの愛好者が集まる「freee部」では、定期的に集まりがあるので、その際にお金周りの話も出たりします。
また、書籍や雑誌にまとまった情報が載っていることもあります。
例えば、『週刊ダイヤモンド 2018年6/16号』には借り入れに対する考え方や銀行融資を申し込む際の注意点などが記載されています。銀行融資だけではなく、先ほど紹介したfreeeのように会計データとAIを組み合わせたAI融資やクラウドファンディングも紹介されていたので小口での借り入れを検討している方にも参考になると思います。
借り入れ先の候補
借り入れに関しては、ある程度まとまった金額の場合は、日本政策金融公庫や銀行・信用金庫からが一般的で、金利もビジネスローンなどに比べると低めである点がメリットです。また、各地方自治体も中小企業向けの融資プランを実施しているため、「都道府県名+融資」で検索してみるといいと思います。
いずれの場合も、しっかりとした事業計画書と返済計画が必要で、融資実行までは1ヶ月以上時間がかかります。
銀行に融資を申し込む際、どこに気をつければいいか気になる方は、『銀行から融資を受ける時、銀行は決算書をどう見ているか』を読むことをおすすめします。
短期間で借り入れをしたい場合は、ビジネスローンという選択肢もありますが、金利が高めに設定されている点がネックです。この場合も、ビジネスローンは色々種類がるので、どこがいいのか悩んでしまう人も多いかもしれません。
冒頭で紹介したfreeeの資金繰り改善ナビは、会計freeeのデータから個別試算して「借りられる」融資商品をすぐに確認できるようです。
借り入れ以外の資金繰りの選択肢
借り入れ以外の資金繰りの手段としては、クレジットカードの活用も挙げられます。いざという時のために、法人・個人事業主向けのビジネスカードに申し込んでおくといいかもしれません。いざという時ではなくても、プライベートと仕事の出費を明確に分け、会計ソフトと連動させることで経理の効率化をするためにも、ビジネスカードは役立ちます。ビジネスカードの比較は、アフィリエイト系のサイトがあふれていてどれを選んだらいいかわかりにくいのですが、この「ビジネスカードランキング」は実際の利用者の口コミ投稿をベースにしたランキングなので、おすすめです。
個人の好みにもよりますが、
- 年会費
- ポイント還元率
- カードブランド
- 付帯サービス
などをもとに選ぶのがいいと思います。
私はビジネスカードは持ってなくて、もともとプライベートで使ってた楽天カードと、ビジネス用銀行口座に使ってるジャパンネット銀行が発行するデビッドカードを使っています。そこまで不便はないのですが、経理をもっと効率的にしたいのであればビジネスカード持っておいたほうがいいなぁと思います。
請求書を買い取ってもらう
つい最近、freee finance lab株式会社が、請求書ファイナンスというサービスを発表しました。会計freee内で作成された請求書などの売掛債権のうち、買取可能性の高いものを「買取オファーリスト」として提示。つまり、まだ入金されてなくとも請求書があればそれを買い取ってもらえるのです。プレスリリース内にある買取手数料を見ると5-7%とビジネスローンよりは低いパーセンテージ。どうしても資金が必要な場合など有力な選択肢の一つになるでしょう。
会計ソフトはさらに便利に
ここまでは会計ソフトのfreeeを中心にサービスをご紹介してきました。私は個人事業主として独立してからずっとfreeeを使っているので紹介しやすいためです。
ただ、freeeだけではなく、マネーフォワードや弥生会計もそれぞれ融資サービスを展開。
銀行から融資を受ける際は、事業計画書や資金繰り表などを準備し、銀行担当者を通じて格付けが行われます。資料を用意するのにも時間がかかりますし、資料からは判断できない要素もあったそう。
一方で、会計ソフトの強みは金融機関の口座やカード会社などとシステム連携し、取引データをリアルタイムで分析できる点。借り手の日々の入出金から発注元まで、企業の信用度を多面的に評価することができます。
個人事業主やフリーランスにとって、日々の会計業務をどれだけ楽にするかというのも大事なのですが、今後はそれに止まらず、資金調達も含めてもっと広い範囲で会計ソフトが活用されていくのかもしれません。