個人事業主としてフリーランスになる場合は、まず最初に開業届を税務署に提出する必要があります。
開業届とは
簡単に言うと、開業届とは事業の開始を税務署にお知らせするための届出です。
国税庁のホームページには、「新たに事業を開始したとき、事業用の事務所・事業所を新設、増設、移転、廃止したとき又は事業を廃止したときに提出する届出」とあります。(参考:国税庁『個人事業の開業届出・廃業届出等手続』)
開業届を入手するには
開業届は、国税庁のホームページ『個人事業の開業届出・廃業届出等手続』からダウンロードするか、最寄りの税務署でもらうこともできます。
最寄りの税務署までいく場合は、「地名+税務署」で検索するとすぐにでてきます。
私は当時、台東区に住んでいたので上野の税務署に行きました。
税務署まで直接行った理由は開業届の他に提出した方がいい書類や手続きに関するアドバイスをもらうためです。この後2-3回行ってるんですよね。2回目は、書き方のアドバイスをもらうために行きました。
開業freeeを使って開業届などを作成する
私が個人事業を開業したのは2015年6月で、それから少しして開業freeeというサービスができました。
これは、開業届や青色申告承認申請書の無料作成サービスです。開業freeeの画面に沿って入力していくと、開業届や他に提出しなければならない届出が自動で出力され、プリントアウトするだけでOKの状態になります。
自分が開業した時にこのサービスがあったら、もっと楽だったのになーなんて思います。これから開業を考えている人はぜひ使ってみてください。
開業届の書き方
前述した開業freeeを使えば、書き方を気にせずに開業届が書けるのですが、せっかくなので自分が税務署の職員さんにアドバイスをもらいながら書いたポイントについてご紹介していきます。
①宛先
開業届を提出する税務署の名前を書きます。
②提出日
この届出を提出した日。
③納税地
私は自宅をオフィス(事業所)にしていたので、ここには自分の住所を書きました。チェック項目には「住所地」「居所地」「事業所等」とありますが、職員さんに言われるがまま「住所地」にチェックを入れました。オフィス兼自宅の場合など多くの場合は「住所地」、オフィスを持っている場合は「事業所等」を選びます。
海外に住んでいる場合など、納税地と住居が異なる場合は「居所地」を選ぶそうなのですが、かなり稀なケースだと思います。私はいまオランダに住んでいますが、居住地と仕事をする場所がオランダなので、新たにオランダで開業し、オランダに納税しています。
④上記以外の住所地・事業所等
納税地=住所地だったのでこの欄は記入しませんでした。支店などがある場合は記入するそうです。
⑤氏名
自分の名前を記入し、印鑑を押します。私は事業用の印鑑を作ってないので、個人の印鑑を押しました。銀行印でも、100均で買えるものでも、なんでもOKとのことです。
⑥生年月日
項目の中に「令和」があるんですけど、これ生まれたてでも開業可能ってことですかね?!
⑦個人番号
マイナンバーを記入します。
⑧職業
自分の職業を書きます。私は開業当初はWebディレクターの仕事をやってたので、Webディレクターって書きました。職業欄て、なんて書いたらいいか地味に迷う人も多いようなのですが、これも開業freeeを使うと、プルダウンで職業を選択するだけなので考えたり迷ったりすることがなく、とても楽です!
⑨屋号
任意記入ですが、屋号を書きます。
⑩届出の区分
新しく事業を開業するので、「開業」にチェックを入れます。
⑪所得の種類
個人事業を開業した場合、収入は「事業所得」になります。
⑫開業・廃業等日
開業届を提出しようとしてた時点で、私はすでに何件か仕事を受けていました。「開業日はいつにした方がいいでしょうか?」と税務署の職員さんに聞いたら、「開業届は事業を開始してから1ヶ月以内に出さないといけないんだけど、今日でいいよ」と言われました。「けっこうゆるいな…」と思いました。
⑬事務所を新設移転した場合など
特に新設移転してないので記入しませんでした。
⑭廃業の理由が法人の設立である場合
これも記入しませんでした。
⑮開業・廃業に伴う届出提出の有無
確定申告を青色でしたい場合は、開業届と合わせて「青色申告承認申請書」を提出しなければなりません。「これどうしたらいいですか?」と職員さんに聞いたら、「とりあえず、青色申告しといた方がいいよ。」と言われ、言われるがままに青色申告承認申請書も提出しました。「白色を選択したら後から青色に変えるのちょっと面倒だし、青色の方が節税できるし色々メリットがある」と言われた気がします。
⑯事業の概要
どんな事業をするのかを記入します。
⑰給与等の支払いの状況
従業員や専従者(青色申告をしていて、且つ、身内が従業員として働いている場合)は記入をします。
⑱源泉徴収の納期の特例に関する届出
給与を支払う人がいる場合に、出しておいた方がいい届出です。1人で事業を運営する場合は不要。
最後は、確定申告などを税理士さんにお願いする場合などに、「関与弁護士」の欄に記入をします。
開業届と合わせて提出しておいた方がいい届出
開業届と合わせて、下記の届出も出しておくと後々便利です。
- 青色申告承認申請書(青色申告を行う場合)
- 青色事業専従者給与に関する届出書(家族に給与を支払うか、家族への給与を経費にする場合)
- 給与支払事務所等の開設届出(給与を支払う場合)
- 源泉所得税に納期の特例の承認に関する申請書(給与を支払う場合)
特に、青色申告承認申請書は、開業届と一緒に出しておかないと自動的に白色申告になってしまうため注意が必要です。
上記の届出も、開業freeeに情報を入力する過程で自動で出力されます。いちいち届出をダウンロードしたり、探さなくていいし、そもそも自分に必要かどうかも考える必要がないので本当に楽です…。
青色申告に関しては、「節税メリットがあるとか」「最近は会計ソフトがあるので簡単にできる」とか推奨の声がほとんどで、私も青色申告派なのですが、どうしても数字が苦手だったり、そこまで所得が多くない場合は、白色でもいいと思います。もしくは、会計士さんや税理士さんに丸投げするのも手です。
開業届の提出期限
原則として、事業を開始してから1ヶ月以内に提出することが推奨されていますが、提出しなかったとしても特に罰則はありません。前述したように、私も税務署の職員さんに「1ヶ月以内に出さないといけないけど、いつ始めたか実際はこちらもわからないし、今日の日付でいいよ」と言われました。
開業届のメリットとデメリット?
よく、「開業届を出すメリット、デメリット」という話を聞きます。メリットは前述したように青色申告ができること、デメリットは、失業保険を受給したい場合、開業届を出すともらえなくなることです。ただ、私はこれってあんまりデメリットにならないんじゃないかなと思っています。
個人的な意見ですが、フリーランスになるのであれば、ある程度の収益の目処を立ててからなった方がいいと思っています。もちろんハプニングが起こって収益が立たないこともあるかもしれませんが、自分の場合は、失業保険は全くあてにしていませんでした。いざとなったらラーメン屋でバイトでもいいと思ってました。
開業届は「自分はこれから事業を興すんだ」という気概の表れのようなものです。
青色申告に切り替えたい場合
フリーランスとして活動する方のなかには、個人宛の仕事が来て、それがどんどん増え、いつの間にかフリーランスになってたという方もいるかもしれません。
また、そもそも開業届の存在を知らなかったという方もいるはずです。
青色申告には、開業届と青色申告承認申請書の提出が必要で、白色から青色に切り替えたい場合も届出を出す必要があります。
この場合は提出期限があって、3月15日までに青色申告承認申請書を提出すると、翌年度から青色申告で確定申告ができます。
2019年3月15日までに青色申告承認申請書を提出していた場合、2019年1月1日から12月31日までの所得(2019年度分)は青色申告にすることができます。
まとめ
以上が、個人事業主(フリーランス)と開業届についてです。
開業届って、見慣れない言葉も多くて、ゼロから自分で書くと色々調べたり聞かないといけません。私はそのプロセス自体が楽しかったりしたのですが、早く開業して本業に集中したい、という方は、途中で紹介した開業freeeを使うといいと思います。一回自分でも入力を試してみたのですが、簡単にできるので本当におすすめです。